トルコ、新インフレ対策を発表…専門家ら「愚かな計画」

トルコ、新インフレ対策を発表…専門家ら「愚かな計画」
トルコが急騰するインフレ(物価上昇率)を抑えるため、特段の措置を発表した。企業が自発的に製品の価額を10%値下げするキャンペーンを開始し、電気・ガス料金を年末まで引き上げないことにした。銀行が高金利貸し出しの利子を減免する案も含まれている。しかし、専門家らはこのような一時的な方法では物価を収めることが難しく、リラの価値を引き上げる根本的な方策などが必要だと指摘した。
■インフレとの戦争を宣言したトルコ
英紙フィナンシャル・タイムズは10日、トルコが「インフレとの戦争」を宣言したと報じた。
トルコのアルバイラク財務長官は同日、「インフレ抑制に総力を傾けていく」としつつ、その一環として企業や店舗に年末まで製品価格の10%値下げに同意することを促した。トルコのインフレ率はリラの暴落に伴う輸入物価の上昇と原油価格の上昇、高い経済成長に伴う需要の拡大などが重なり、先月25%に迫るなど、高い上昇率を見せている。
アルバイラク長官は「値下げキャンペーンは自発的に行われるだろう」とし、消費者にキャンペーンに参加した店や企業の製品を購入するように促した。また、「投機、日和見主義、買い占め・売り惜しみに関わっている企業が高インフレの元凶だ」と指摘し「当局が企業や店のこのような行動を綿密に監視していく」と明らかにした。
海外メディアは、事実上‟半強制的な値下げ政策”と批判しているが、トルコの小売り企業BIMなど4つの主要企業が今後2ヶ月間、50品目について10%値引きすることをすでに発表した。
電気・ガスの価格も凍結される。トルコ政府は年末まで電気・ガスの価格を引き上げないことに決定した。また、国営企業も自動車、肉、乳製品、米の価格を凍結したり、値下げすることにした。
銀行の金利下げも「インフレとの戦争」に含まれた。アルバイラク長官はトルコの銀行が8月以降の高金利貸し出し商品について10%の割引を実施してくれると述べた。しかし、詳細については明らかにされていない。
■「愚かな計画」酷評する専門家
専門家たは、「インフレとの戦争」の詳細計画について酷評を出している。歴史的にこのような緊急措置は成功した例がないと指摘している。
GAMホールディングのファンドマネジャー、ポール・マクナマラ氏は、「この計画は完全に愚かなもの」とし「完全に間違ったシグナルを送っている」と酷評した。また「企業を動員して高インフレを解決しようとする努力はすべて失敗した」とし、「米国ではジェラルド・フォード政権が、ベネズエラではチャベス政権がこのような方式を実施したが、インフレ抑制に失敗した」と指摘した。
マクナマラ氏は「インフレ率を落とす唯一の方法は、リラの価値を再び上昇させるか、賃金を落として需要圧力を緩和する景気後退だけだ」と述べた。
一方、国際通貨基金(IMF)は9日、「世界経済展望」報告書を発表。昨年7.4%の成長だったトルコが今年3.5%、来年は0.4%の成長に留まると予測した。従来の展望値は4.2%と4.0%だった。IMFは、「トルコが直面した問題は通貨、財政、準財政、金融部門など包括的な政策パッケージが求められる」と指摘した。