「辛ラーメン」、20年間売上40倍の秘訣は囲碁?

今年で20周年を迎えた「農心辛ラーメン杯世界囲碁最強戦」が今月15日に中国・北京で開幕した。/農心ホームページより
「辛ラーメン」、20年間売上40倍の秘訣は囲碁?
韓国の食品大手農心は中国事業20年ぶりに売上40倍成長という大記録を年内にも達成する見込みだ。辛ラーメンの差別化戦略や現地マーケティングを軸に、急成長を遂げてきた農心。特に今年で20周年を迎えた「農心辛ラーメン杯世界囲碁最強戦」が大きな役割を果たしたと評価されている。
農心は16日、「1999年に売上700万ドルを記録した農心中国法人が今年の上半期に売上約1億3千万ドルを記録した。年末まで2億8千万ドルという最大実績達成も目前にしている。累計売上も上半期基準で20億ドルを突破した。累計売上20億ドルは農心の海外法人としては最初の記録」と明らかにした。
専門家らは「自国の食文化に大きく影響される食品企業が海外で20年以上成長を続けることは非常に異例だ」と評価している。
農心の中国進出は1996年に上海に生産工場を稼働させたことから始まった。台湾企業との合作の形で進出したが、1998年に持分を買い取り1999年からは独自の路線を歩むことになった。それと同時に青島工場(1998年)、瀋陽工場(2000年)などを相次いで稼働させ、中国事業を本格的に展開した。
農心のチョ・インヒョン中国法人長は「90年代末の中国市場は格安の中国産ラーメンが市場の大半を占めていて、中国の消費者たちも韓国食品に大した興味を示さなかった」とし「農心製品を店頭に並べることさえ難しかった」と当時を振り返った。
世界最大市場と呼ばれる中国で農心が成功を成し遂げた秘訣は、味とマーケティングという「ツートラック(2路線)戦略」だ。味は韓国の辛い味のまま発売することを原則にした一方、広告やマーケティングなどは徹底して中国現地の文化やトレンドを優先した。
韓国式の「煮込んで食べるラーメン文化」もそのまま中国に持ち込んだ。中国は容器に麺とスープを入れ、熱湯を注いで温めてから食べる「包面」の文化が普通だが、農心は韓国式のラーメン調理法で中国のラーメン企業に挑んだ。
味だけではなくマーケティングも異例的だ。農心は中国で最も人気のあるスポーツの囲碁をマーケティングに活用した。特に農心の中国事業で大きな力となったのが「農心辛ラーメン杯世界囲碁最強戦」。今月15日に中国・北京で20回目の幕を開けた。同大会には井山裕太九段、李世ドル(イ・セドル)九段などの日中韓のトップ棋士らが参加し、北京、釜山、上海で真剣勝負を繰り広げる。
農心は中国進出当時、囲碁への熱気が高い中国人の耳目を集めるため、同大会を企画した。中国大会では現地の消費者は対局を観戦するために対局場やテレビの前に集まった。自然に囲碁ファンの関心は辛ラーメンの消費へ繋がった。専門家らは「農心の知名度や辛ラーメンのブランド力を同時に高めることに成功した原動力は‟農心辛ラーメン杯世界囲碁最強戦”」と語る。
辛ラーメン杯の成功は初期の中国事業での突破口になった。チョ中国法人長は「マスコミの報道やクチコミなどが特約店や大型スーパーでの取り扱い開始など流通網の拡大につながった。売上も増加した」とし「辛ラーメン杯が中国事業の難関を突破していくけん引車のような役割を果たした」と述べた。
翻訳:尹怡景