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BCHABCとBCHSVの権力争い…仮想通貨の限界を露呈

BCHABCとBCHSVの権力争い…仮想通貨の限界を露呈

SV陣営、「現在保有しているビットコインを全て売ってでも闘う」

最近、仮想通貨市場の不確実性を浮き彫りにした「ビットコインキャッシュ(BCH)のハードフォーク(分裂)」について、脱中央型のコンセンサス・アルゴリズムの限界を露呈した「決定的な事件」という指摘が広まっている。分散システムの無欠性を保証するためのコンセンサス・アルゴリズムを、特定勢力が独占しつつあるためだ。

これにより昨年8月のビットコイン(BTC)のハードフォーク同様に、ビットコインキャッシュのハードフォークもまた、いくつかの大型採掘者らのハッシュパワー(採掘に必要なコンピューターの演算能力)競争になりつつある。

特に「ビットコインキャッシュABC」(BCHABC)と「ビットコインキャッシュSV」(BCHSV)の両陣営がビットコインキャッシュのハードフォークについて激論を戦わせる過程で、仮想通貨市場の乱高下や「作業の証明(PoW)」方式の限界露呈など異常な動きがみられ、業界に混乱が広まっている。

■「BCHABC」と「BCHSV」のハッシュパワー戦争にビットコイン今年最安値更新
20日主な海外メディアや関連業界によると、ビットコインキャッシュのハードフォークの当事者「BCHABC」と「BCHSV」の論争は、各陣営の代表者であるビットメイン(Bitmain)のウ・ジハン代表とエヌチェーン(nChain)の首席研究員クレイグ・ライト氏の間での権力争いに進んでいる。

この間、ハッシュパワーを元にした投票結果により、周期的にシステムのアップグレードをしてきたビットコインキャッシュの生態系は、最近新規のプロトコル導入可否とブロックサイズ拡大などの方法論について、真っ向から対立し、その結果ふた手に分裂した。

この過程で、ビットコインなどの仮想通貨市場は乱高下を避けらない状況。ある有名仮想通貨ブロガーは、「ビットコインキャッシュ戦争により、ビットコインまで今年最安値を更新した」と、「採掘は寡占体制化されており、ビットコインはクジラ(大口投資家)の占有物となり、脱中央化を論ずるのは難しくなった」と指摘した。

■少数の採掘業者が破局をもたらす
特にビットコインキャッシュのハードフォーク問題は、多数の市場参加者(投資家)と関係無く、少数によりブロックチェーン・仮想通貨生態系が左右される可能性を見せつけた、極端な事例として上げられている。

「ボスコイン(BOScoin)」プロジェクトを率いるブロックチェーンOSのチョン・ミョンサン理事(最高ビジネス責任者CGO)は、「ビットコインキャッシュのハードフォークに関する一連の問題では、ビットコインキャッシュを保有していた人々の利益や意志とは全く関係無く、少数の立場のみで貫徹された」とし、「ブロックチェーンで多数の利害関係を収斂する事の出来るガバナンスの重要性が、改めて確認された事例」と語った。

また今回のビットコインキャッシュのハードフォーク問題により、これまでの「作業の証明(PoW)」方式の限界が露呈したというのが業界の見方だ。ビットコインをはじめとしたパブリック・ブロックチェーンで主に採択されているPoW方式は、仮想通貨の採掘過程で高価格のコンピューター設備などが必要とされる。結果として世界最大の採掘業者ビットメインのような者が、市場に莫大な影響力を及ぼす事になる構造だ。

アトムリグス(Atomrigs)のチョン・ウヒョン代表は、「PoWが合意方式でしっかりと機能するためには、多数によるハッシュパワーの分散が大変重要であるにも関わらず、今までの展開過程を見ると、より効率的なハッシュパワーを得るための設備競争により、結局ハッシュパワー所有の集中化をもたらした」と指摘した。

つまり大規模施設を持った採掘業者らが享受する「規模の経済」の効果ばかりが拡大していることになる。複数の業界関係者も、「昨年ビットコインキャッシュがビットコインからのハードフォークにより派生した時は、ビットコインキャッシュ側が全面戦争を避けた。しかし、今回は劣勢なBCHSV陣営が、‟現在保有しているビットコインを全て売ってでも闘う”と対立し、市場とネットワークの不安定性を高めさせている」と憂慮の声を上げた。

翻訳:水野卓

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