日韓近代70年のストーリーを語る… 展示会 「月虹(Moonbow)」が来年1月京都で開催

2018-12-6

月虹は日の光によって作られる虹とは異なり、月の光(月に反射した太陽光)によって作られる虹を指す。虹が太陽のある方向と逆側の空に現れるのと同様に、月虹も月とは逆側の空に作られる。月から反射した光はとても弱く、一般的な虹に比べてとてもぼんやりとしている。人の目ではその光を認識するのが難しいため、実際に見える時にはかすんだようにしか見えない。

月虹は月光が強い日、満月の近くで観察されやすい。主に滝の近くで作られ、月の高度が下がって空が暗くならなければならない。もちろん、月のある方向と逆側の空から雨が降 ることも必要だ。このような条件が全て満たされることはまれであるため、月虹をみることは虹を見ることよりはるかに難しい。

■「月虹(Moonbow)」

作家・裵相順(Bae SangSun)による展覧会。植民地朝鮮・大田に生きた日本人を中心に、3年間にわたって調査し、集めてきたアーカイブの記録や写真などの作品を紹介する。映像、写真、ドローイング、インスタレーションなど約10数点。
・日時:2019年1月14日 – 1月27日
・場所:特定NPO法人京都藝際交流協会 JARFO 京都画廊
・展示のお問合せ: JARFO 京都画廊 (特定NPO法人京都藝際交流協会)
TEL +81(0) 75-255-1308, 080-6128-9609 FAX +81(0) 75-708-3141

展示作品「シャンデリア」シリーズ
上の写真の素材はこれまでの作品の素材でもあった「ひも(糸束)」だ。10数色の多様な色の糸束をほどき、絡まりもつれ合った状態を写真として制作した。平均年齢80歳で激動の日韓近代史の上を生きてきた各個人のストーリーに耳を傾け、その中に残っている記憶のかけらを集めた。彼らのストー リーに光を当てるための作業だ。特に日韓近代史、戦争、終戦の過程を経た70年余りの旅程の中に絡まり合った話の糸束は、どこからが始まりで、どこが終わりなのか分からない。それらの破片に記憶のかけらを解き放した作品だ。富と権力の象徴であるシャンデリアとは全く異なる立場で生きてきた人々のストーリーを展示、共有したいという思うを込めた。

脚注)シャンデリアの意味
フランス語のシャンデル(Chandelle:ろうそく)から派生した言葉でロウソクを立てる器具(燭台)という意味だったが、今では装飾効果が目を引くように施した照明器具の名称だ。

リサーチプロジェクト 日韓近代70年 狭間のストーリー 背景

大田の近代都市の始まりは日本の鉄道技術者の移住によるものだった。1900年代初め、日露戦争に備えて朝鮮半島を縦断する鉄道建設を急いでいた日本は、その重要な中継地点としてほとんど人の住んでいなかった大田を選んだ。1904年に、188人の鉄道技術者が日本から移住を始め、移住民たちは鉄道周辺に集いながら日本風の都市を建設。大田は植民地期を通して朝鮮半島で最も日本風の都市の一つとされた。

大田の日本人の人口は増加し続け、1925年まで韓国人の人口を上回っていた。大田は駅という強力な資本を強みとして大きく成長した日本人のための近代都市だった。大田は今では人口150万人で韓国第5の都市だが、植民地期の日本人に関する歴史はあまり知られていない。近代都市の出発を共にした日本人が1945年の敗戦により日本本土に引き揚げ、主要な資料や写真などの大部分が持ち帰られた上、朝鮮戦争の空襲被害によって多くの近代建築物も焼失した。

40年余りと短かった近代都市の姿は、現在ではほとんどなくなり、大田駅近くに残る鉄道技術者用の官舎が集まった小さな街「蘇堤洞(ソジェドン)」だけが、今でも当時の日本人の暮らしの場をそのまま伝えている。だが、その蘇堤洞も再開発を理由に、少しずつ消え去りつつある。裵相順作家(京都在住)は2015年~2016年にかけて2年間、大田文化財団の「地域リサーチプロジェクト」を通して大田の近代を調査。大田で生まれ育った人たちにインタビューをし、資料を集めた。

今回の展示会とシンポジウムは、公益財団法人韓昌祐・哲(ハンチャンウ・テツ)文化財団の2018年度助成金支援の下で行う。

作家・裵相順(Bae SangSun)
ホームページ:https://www.sangsunbae.com/ 

1997年成均館大学美術教育科(美術教育専攻)卒業。2002年武蔵野美術大学造形研究科美術専攻終了。2003年ロイヤルカレッジオブアート(版画専攻)交換留学生。2008年京都市立芸術大学大学院美術研究科博士(後期)課程満期退学。2005年と2008年には、日本の「現代美術の展望-新たな平面の作家たち」の展示に選ばれ、韓国と日本を始め、多くの国際的展示に参加した。現在は京都を拠点に制作し、活動している。

■公益財団法人韓昌祐・哲文化財団
2012年に日本と韓国に関わる文化、芸術、歴史、社会、スポーツ、国際交流の分野に助成事業を行い日韓交流を促進するために設立されました。以来,助成金を通じて個人研究や団体活動への数多くの支援を行うことで、両国の相互理解と友好を深め豊かな関係を築くことに貢献している。現在は、原則として”日本と韓国を生活•活動の拠点とすること”を助成対象者の条件としている。

■立命館大学コリア研究センター(Ritsumeikan Center for Korean Ricks
韓国社会の急速な変化にともない、立命館大学でも1990年頃から現代韓国・朝鮮半島研究や日韓関係研究が積極的に推進されてきた。その成果を踏まえ2005年6月に「立命館大学コリア研究センター」が設立された。本センターは学術研究のみならず、朝鮮半島理解のための地域社会に開かれたセンターとして様々な学術企画、文化行事、市民講座などを展開している。

■大田近代アーカイブズフォーラム
2010年に結成された大田の若手研究者の集まり。建築や歴史、美術など多様な専攻の研究者たちが集まり、大田という都市の歴史的な痕跡を探し出し、記録する作業を進めている。特に2010年から2013年にかけて行われた「日帝強占期大田蘇堤洞、鉄道官舎村の記録化事業と調査研究」は先駆的な業績として高い評価を受けている。

■日韓市民ネットワークなごや
日韓の市民交流を目的として1998年に創立した。会員は120人で創立初期には大田出身の会員が4人に1人だったほど、大田と深い縁のある団体だ。日韓市民ネットワークなごやの代表であり、元NHKディレクターの後藤和晃氏の協力は今回のプロジェクトにおいて、大田生まれの日本人を探すのに決定的な助けとなった。

■関連イベント
■シンポジウム:記録されぬ人々~植民地朝鮮 大田の日本人~
・日時:1月13日(日)14:00~16:00 立命館大学コリア研究センター
・場所:立命館大学創思館カンファレンスホール(京都市北区・立命館大学衣笠キャンパス)
■トークイベンド:日韓近代70年‟狭間のストーリー” 作家・裵相順(Bae SangSun) X 勝村誠(立命館大学コリア研究センター教授)
・日時:1月19日(土)17:00 ~ 19:00 ・場所:特定NPO法人京都藝際交流協会 JARFO 京都画廊
・展示のお問合せ:
特定NPO法人京都藝際交流協会 JARFO 京都画廊    
TEL +81(0) 75-255-1308, 080-6128-9609
FAX +81(0) 75-708-3141

シンポジウム 記録されぬ人々~ 植民地朝鮮 大田の日本人~

シンポジウム
・日時:2019年1月13日(日)14時~17時
・場所:立命館大学 創思館カンファレンスルーム
・主催:裵相順 / 公益財団法人 韓昌祐・哲文化財団、立命館大学コリア研究センター
・後援:大田近代アーカイブズフォーラム、立命館大学 国際平和ミュージアム、大田文化財団、日韓市民ネットワークなごや
・内容:韓国中部にある大田市は、日本人の移住によって近代都市の形成が始まった。1900年代初め、日露戦争に備えて朝鮮半島を縦断する鉄道建設を急いでいた日本は、その重要な中継地点としてほとんど人の住んでいなかった大田を選んだ。ソウルや釡山など伝統的に発展してきた都市とは異なり、大田は日本人の移住を抜きには誕生し得なかった都市。だが、その歴史は日韓両国の国民史から抜け落ち、ほとんど知られてこなかった。近年大田市では研究や芸術などを通して都市のルーツをたどる動きが活発化している。シンポジウムでは、大田に住んだ日本人の軌跡や記録、彼らの故郷に対する思いを資料や映像、証言などを通じてたどる。さらに、釡山など他の植民都市における都市形成の事例も紹介しながら、国民史の狭間で記録されない人々の歴史と向き合うことの意義やそこにおいて芸術が持つ可能性を探る。

お問合せ:
立命館大学 コリア研究センター

TEL: 075-466-3264
FAX: 075-466-3247
Email:korea@st.ritsumei.ac.jp

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