「安倍総裁三選」アベノミクスで静めたスキャンダル…順調な航海かは未知数

「安倍総裁三選」アベノミクスで静めたスキャンダル…順調な航海かは未知数

安倍晋三総理が19日に自民党総裁3選を果たし、これによりアベノミクスも継続する事となった。公文書偽造など致命的なモリカケ問題がありながら、安倍総理が今回の自民党総裁選で圧勝する事が出来た理由は、アベノミクスが成し遂げて来た成果によるとみられる。

莫大な予算を投じて、20年間の停滞感から抜け出した日本経済を、成長軌道に乗せた功労が認められた事となる。今回の勝利で2021年9月まで日本の内閣を率いる事になった安倍総理は、現在の経済基調を維持するという立場ではあるものの、急激に膨れ上がった国家負債や、全く上がらない物価上昇率、世界的な貿易戦争などのリスクが散在しており、順調な航海が続くかどうかに注目が集まっている。

■負債やインフレなどリスク散在
安倍総理は2012年12月に第二次内閣をスタートし、20年間続いたデフレ(景気沈滞の中での物価下落)と円高脱却を目標に、果敢な経済政策を発表した。アベノミクスと呼ばれるこの政策は、▲大胆な通貨政策を通じた量的緩和 ▲政府の財政支出拡大 ▲積極的な成長戦略の「3本の矢」を軸としていた。特に日本銀行は年2%のインフレ目標で、マイナス金利政策と毎年80兆円に及ぶ国債買い上げを断行してアベノミクスを下支えした。

その結果、日本経済は2012年以降年間1.3%上昇した。また名目国内総生産(GDP)は2012年の第2四半期の493兆円から、今年の第2四半期の551兆円に増加している。市中に円貨が溢れ、円の価値が継続して下落した。2012年に比べ、円の価値は対ドル比で40%近く下落している。これにより外国人旅行者数が増え、輸出企業の価格競争力が高まった。日本の上場企業は2017年の会計年度基準で2年連続史上最高益を達成している。

トムソン・ロイターのデータストリームによると、日本企業の純利益の増加率は、2012年以降は米国よりも高い。更に失業率も2012年の4.3%から2.5%まで下がった。これは24年ぶりの最低値。そして日経平均株価は2012年以降に2倍以上上昇している。

■景気浮揚策の出口戦略がカギ
問題は莫大な予算を投じて成し遂げた成果が今後も続くかどうかだ。一部では安倍総理が景気浮揚策の実弾を全て使い果たしたのではないかとの指摘もある。アベノミクスが初めて発表された当時、市場で「ABE(アセット・バブル・エコノミー)」と低評価されていたのと同じ脈絡だ。また2%のインフレ目標も全く達成されていない。日銀は2%の達成時期を2年後としながら度々延期した後、現在ではその時期さえ言及しなくなっている。失業率は最低値まで下がったものの、賃金上昇幅は予測ほど高くなっておらず、消費増加にまでは至っていない。国民1人あたりのGDPは2012年の4万8633ドルから、2017年の3万8550ドルとアベノミクス試行後に1万ドル以上減少している。

世界的な貿易戦争が激化する中、この間経済成長に寄与して来た円安傾向が止まり、日本の輸出が打撃を受ける可能性もある。ドナルド・トランプ米国大統領は日本の円安傾向を非難し、日本車に対する関税賦課の可能性も示唆している。

安倍総理は今回の任期の間に景気浮揚政策を繰り出す一方、成長と分配の好循環を通じて、2020年の名目GDP600兆円を達成するという目標を打ち立てた。来年10月からの消費税率引き上げに備えた景気沈滞を防ぐため、積極的な財政支出が断行されるとみられる。

ただし、GDP対比で226%と先進国中最悪の国家負債をどの様に解決するのか、また通貨政策の出口戦略をどの様に打ち出すのかが、カギになるとみられる。

翻訳:水野卓

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