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日韓国交正常化60周年特集インタビュー|韓流20年の軌跡と現在地――直近10年を中心に

2025年、日韓国交正常化から60年を迎えた。政治・外交の分野では緊張と対立が繰り返されてきた一方で、民間レベルでは文化交流が途切れることなく続いてきた。その中心にあったのが韓流だ。
本特集では、韓流20年の流れを俯瞰しつつ、とりわけ質的転換が顕著だった直近10年を検証する。対談には、HUB JAPAN代表の韓政錫と、元DA東京で日本社会と韓国文化を長年研究してきた李政昱教授が応じた。

Q1. 韓政錫 代表 :日韓国交正常化60周年という節目に、直近10年の韓流をどう総括するか。

A1.李政昱教授 :この10年で最も大きいのは、韓流が「流行現象」から「社会的前提」に変わった点だ。以前は一部のファン層に支えられるブームだったが、現在は音楽、映像、ファッション、食文化まで含め、日本社会の日常的選択肢として組み込まれている。好むか否かは別として、存在自体を前提に語られる段階に入った。

Q2. この時期は日韓関係が冷え込んだ局面とも重なる。

A2. だからこそ、韓流の持続性が際立つ。政治や外交は国家単位で揺れるが、文化消費は個人の判断だ。特に若い世代は、外交問題を自分の文化選択と切り離して考える。結果として、政治的緊張が文化交流を直撃する構図は崩れた。

Q3. K-POPの日本市場での位置づけはどう変わったか。

A3. かつては日本語楽曲、ローカル番組出演など、日本専用戦略が不可欠だった。現在はその必要性が薄れ、韓国語のまま世界標準の形で受け入れられている。日本はもはや特別な市場ではなく、グローバルツアーの重要拠点の一つになった。

Q4.最近の公演で象徴的な事例は。

A4. 第2世代K-POPを代表するKARAの日本公演は象徴的だ。長い活動空白があっても大規模会場を埋めたことは、韓流が記憶として社会に蓄積されている証拠だ。最近は若手アーティストと同じ舞台に立つ合同公演も増え、世代を超えた連続性が見えている。

Q5.ドラマ分野ではどのような変化が起きたか。

A5. 配信サービスの普及が決定打となった。日本の放送編成や時間帯の制約を受けず、韓国ドラマは実験的なジャンルに挑戦できるようになった。恋愛中心から社会問題、犯罪、政治を扱う作品まで視野が広がり、日本の視聴者の受容力も高まった。

Q6. 映画分野における韓流の評価は。

A6. 日本の観客は韓国映画を「外国映画枠」で見る段階を越えた。テーマが重くても娯楽性と完成度が高ければ支持される。これは日本映画界にとっても無視できない刺激で、表現や題材の幅に影響を与えている。

Q7.韓流は文化なのか、産業なのか。

A7.もはや明確に産業だ。音楽や映像を核に、観光、語学教育、化粧品、食品まで波及している。日本国内でも韓流関連消費は一過性ではなく、継続的な市場として定着した。

Q8. 日本における受容層の変化をどう見るか。

A8. 初期は中高年女性が中心だったが、直近10年で10代から30代の男女に拡大した。特にZ世代は、韓流を「海外文化」と意識せず、同時代のカルチャーとして自然に受け入れている。

Q9.韓流が日韓関係に果たした役割は何か。

A9. 外交が停滞しても、民間レベルの関心と交流を維持する緩衝材として機能してきた。感情的対立が高まる局面でも、文化を通じた接点が完全に断たれることはなかった。

Q10.次の10年、韓流はどこへ向かうのか。

A10. 拡散の段階は終わり、内在化と共同創造の段階に入る。日韓共同制作のドラマや合同コンサートが増え、韓流は「韓国の文化」から「共有される文化資産」へと変わっていく。日韓国交正常化60周年は、その転換点として記憶されるだろう。

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