駐日韓国文化院の孔炯植文化院長が2日、東京都新宿区の早稲田大学で「日韓文化交流の理解」と題した特別講義を行い、交流の歴史と現状について流ちょうな日本語で解説した。孔院長は、来年は国交正常化60周年を迎える「非常に重要な節目になる年だ」とし「みなさんのような若者たちが韓日交流の主役として寄与していってほしい」と呼び掛けた。

また「メディアで見た韓国と直接見た韓国は異なる。メディアが伝える見方や情報をそのまま受け入れるのではなく、批判的な立場で情報をフィルタリングする力を養うことが非常に大事だと思う」とも強調した。
特別講義を聴講したのは早稲田大・宋苑瑞講師の地理学の授業を受講する学生ら約30人で、開始前の教室ではNewJeansなどK-POPアイドルのミュージックビデオが上映され、普段の授業とは異なる雰囲気が醸成された。学生からは「韓国は日本側からどんなコンテンツを輸入しているのか」などの質問が相次ぎ、孔院長は「日本のアニメの人気が高い。『すずめの戸締り』は非常に人気があって、韓国は日本のアニメにはまっていると言っても過言ではない。漫画は当然、人気があるし、『YOASOBI』などJポップの人気も高い。(K-POPや韓国ドラマの日本への流入という)一方的な文化交流でなく、韓国人も日本の文化を楽しむのは非常にいいことだと思う」と答えた。
孔院長は日韓の世代別の対日、対韓認識についても分析した。韓国側では、1945年前後生まれの世代は「反日と親日が混在する複雑な世代」で、1970年代前後生まれの民主化世代は「日本文化への理解度が低く反日感情が強い」と指摘。一方、2000年前後生まれのミレニアム世代は日本文化に対して開放的で理解度が高いと説明した。
日本側については、団塊世代が「韓国の経済成長は日本のお陰だと認識して優越感を持ち、上から目線で韓国を見ている」とし、1970年前後に生まれた「新人類世代」は「韓国への関心が低い」と分析。これに対し、2000年前後生まれの「W杯世代」は韓国への理解や関心が高く、偏見を持たず「平等な目線でお互いを見ている世代だ」と述べた。その上で、学生たちに対し「みなさんのような世代は(韓国の同世代と)仲良くなれると思う」と期待を示した。

駐日韓国文化院は世界の文化院に先駆けて初めて1979年に東京で開院し、「文化を通じて韓日両国をつなぐ」ことを目的に韓国映画上映会や料理教室、芸術作品の展覧会やトークショーなどを実施している。孔院長は講義で、今年9月28、29日には東京・駒沢オリンピック公園で毎年恒例の「日韓交流おまつり」が開催されることも紹介。講演後には学生らと一緒に記念写真に納まった。取材に対し「大学生に講義したのは初めてだったが、この若者たちが実は私たちのような世代よりずっと韓国や日本のお互いに対する理解度が高いのではないか。偏見なしに同じ平等な視線で見つめ合いながら交流し、協力しながら良いパートナーとなって発展できるのではないか」と感想を語った。

記事・岡坂健太郎
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