12月13日で、国連の「障害者権利条約」が採択されてから19年を迎えた。条約は、障害のある人々が直面してきた差別や偏見を是正し、尊厳と権利の保障を国際社会として明確に位置づけた画期的な合意だった。
かつて日本では、教科書に「障害者と結婚してはいけない」と明記されていた時代があった。障害のある人を「不良」と位置づける優生思想は、戦後も長期にわたり国策として広められ、社会の隅々にまで浸透したとされる。この歴史的背景が、現在に至るまで障害者差別が根強く残る一因になったとの指摘も多い。
障害者権利条約の採択は、こうした過去の過ちに対する国際社会の反省の上に成り立っている。障害の有無にかかわらず、すべての人が等しく人権を有し、社会のあらゆる場面に参加できることを原則として掲げた点に大きな意義がある。
条約採択から約20年が経過した現在も、差別や偏見が完全に解消されたとは言い難い。だからこそ、優生思想がもたらした歴史的過ちを直視し、同じ過ちを繰り返さないための検証と教育が求められている。障害者権利条約が示した理念を、社会の実践としてどこまで根付かせられるのかが、いま改めて問われている。













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