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モスバーガー、農業事業の拡大に足踏み:自社ファームは10拠点で維持へ

全国的に農業従事者の減少が進む中、農業法人化が緩やかに増加している。農林水産省の最新調査によると、2024年2月時点で全国の農業経営体数は前年比で5%減少した一方、法人化された農業経営体数は約1.2%増加し、約3万3400法人となった。これに伴い、企業による農業参入の動きも見られるが、依然として課題が山積している。

外食業界のモスバーガーを運営するモスフードサービスは、業界の中でも早期に農業に参入した企業の一つである。1997年から「作り手の顔が見える野菜」を目指し、品質管理と安全性の向上を図ってきた。同社は2006年に農業法人サングレイスを静岡県に設立。その後、北海道や熊本県などに「モスファーム」の名称で農業法人を展開し、トマトやレタスなどを生産している。

しかし、事業拡大は難航している。同社が新規のモスファームを設立したのは2020年6月の広島県が最後であり、現在は全国10拠点での運営にとどまっている。これにより、モスバーガーで使用する野菜の約1割を自社で生産する状況だ。同社の近澤太輔氏は、「勢いで進めた面もあったが、経営面で多くの課題が浮上した」と振り返り、今後は外部の協力農家からの調達を拡大していく方針を明らかにした。

企業による農業参入は、新たな担い手の確保や農業の持続可能性向上に寄与すると期待されるものの、農地取得規制や経営リスクが依然として大きな壁となっている。

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