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大規模災害時のドクターヘリ運航、災害対策本部に一元化へ

– 能登半島地震の教訓を踏まえ運用指針を改定予定 –

厚生労働省は、大規模災害時にドクターヘリを効率的に活用するため、年度内に運用指針を改定する方針を明らかにした。ドクターヘリは医師が同乗し、治療を行いながら負傷者を搬送できる緊急医療用ヘリコプターである。昨年の能登半島地震では孤立地域の患者搬送に大きな役割を果たしたが、離着陸場所の確保や情報の錯綜などにより搬送が遅れる問題が発生した。

運用指針改定の背景

厚生労働省によると、ドクターヘリは2011年の東日本大震災時に全国で26機だったが、現在では57機に増加している。2016年の熊本地震後に初めて運用指針が策定され、昨年の能登半島地震では8機が出動し、計84人を搬送した。これにより、災害時の重要な役割が確認された。

しかし、能登半島地震の発生直後、外部支援で派遣されたヘリの離着陸場所が確保されず、消防や自衛隊との情報共有が不十分だったため、複数のヘリが同じ現場に向かう混乱が起きた。また、石川県災害対策本部と被災地の病院の両方に患者情報の連絡や問い合わせが殺到し、情報が錯綜したことも課題となった。

運用指針改定の主な内容

厚生労働省は、改定後の運用指針で災害対策本部と病院の役割を明確に分担することを目指している。ヘリの離着陸場所や出動機関の調整は災害対策本部が一元的に管理し、病院側は患者情報の共有や被災地の状況把握に専念できる体制を構築する。

さらに、各都道府県に対し、ドクターヘリ運用に向けた定期的な訓練の実施を求める予定だ。関係機関と協力し、離着陸場所や燃料補給拠点を具体的に設定し、実効性のある訓練を行うことで災害時の対応力を高める。

専門家の見解

災害医療を専門とする鳥取大学の本間正人教授は、「大都市で災害が発生した場合、交通麻痺が生じ、搬送に時間がかかる可能性が高い。ヘリを活用できる体制は全国の都道府県で必要とされる」と指摘している。

今回の運用指針改定により、災害時のドクターヘリの効率的な活用が期待されており、負傷者の迅速な救命・治療を可能にし、情報混乱による問題の軽減が図られる見通しだ。

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