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国立大授業料、標準額見直しの必要性浮上

教育の質確保に向けた議論本格化

国立大学の授業料について、政府が定めた標準額の見直しが議論されている。毎日新聞が全国86の国立大学を対象に行ったアンケート調査では、回答を得た78大学のうち約3割にあたる27大学が「標準額を見直すべき」と回答した。一方で、実際に授業料の値上げを検討している大学は5校にとどまり、財政的な困難を抱えながらも、多くの大学が慎重な姿勢を見せていることが明らかになった。

20年間据え置きの標準額、現状との乖離

現在の国立大学の授業料標準額は年間53万5,800円で、2005年に設定されて以来、20年間変更されていない。各大学は標準額を基準に最大2割の範囲内で独自に調整できるが、物価高騰や国からの運営費交付金の減額により、7大学がこれまでに授業料の引き上げを実施した。東京大学も2025年度の新入生から授業料を引き上げる計画を発表している。

運営費交付金の増額が最大の課題、70大学が要望

財政難に直面している大学の多くは、教育や研究の質を維持するための対策として「国による運営費交付金の増額」を挙げている大学が70校と最多だった。また、「国や自治体による給付型奨学金の拡充」を求める大学が55校、「民間からの寄付の募集」が39校と続いた。一方で、「大学が教育・研究の内容や規模を精選するべき」という回答も15校あり、財政難が大学運営に影響を及ぼしていることがうかがえる。

文科省、見直しに向けた議論加速

文部科学省は少子化の進展を踏まえ、大学のあり方を検討するため、中央教育審議会特別部会で議論を進めている。年度内にまとめられる答申では、今後5~10年を見据えた授業料設定や公的支援の在り方についての方向性が示される見通しだ。

国立大学協会の永田恭介会長は、「現在の標準額では国立大学が提供する教育の価値に見合わない。高いレベルの教育を維持し、さらに向上させるためには、より多くの教育費が必要だ」と述べ、授業料の引き上げを求める考えを示した。

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