政府と与党は、東京都に偏在する地方税収の構造を改めるため、地方法人課税と土地の固定資産税について新たな再分配制度を導入する方向で調整に入った。行政サービスの格差が拡大しているとの判断が背景にあり、地方間の財政バランスを是正する政策転換が本格化した形だ。
総務省によると、2023年度の地方税収45兆7千億円のうち、東京都が占める割合は17.6%に当たる8兆円。税目別に見ると、地方法人課税は譲与税による再分配後でも22.5%、土地の固定資産税は25.1%が東京都に集中している。特に固定資産税は再分配の仕組みが存在せず、“東京偏重”が制度的に固定化されているとの指摘が強まっていた。
政府・与党は、地方法人課税については、現在の譲与税による再分配枠を拡大する案を軸に検討を進める。一方、固定資産税は制度上の再分配機能がないため、新たな交付制度の創設を含む幅広い議論が行われる見通しだ。
東京都は安定した税収を背景に、子どもの医療費助成など住民サービスを拡充してきた。他の道府県とのサービス格差が広がっているとの危機感から、与党は年内に策定する2026年度税制改正大綱に基本方針を盛り込む方針だ。ただし制度設計には時間を要するため、2027年度税制改正まで議論が継続する公算が大きい。
東京への過度な税収集中をどこまで是正するのかが、今後の政治的焦点として再び浮上しつつある。













Leave a Reply