「fn社説」難民政策のインフラ構築が急がれる

-時限爆弾になりかねない難民問題、受け入れ基準のコンセンサスが喫緊の課題
済州島から入国し、集団で難民申請をしたイエメン人の去就を巡る議論が熱を帯びている。難民受け入れに反対するグループは先週末の6月30日に集会を開き、イエメン人の入国ルートとなったノービザ制度の廃止と強制出国を要求した。未だ韓国国内では就労などの難民を受け入れるための社会的な基盤もコンセンサスも整っていない状況だ。この様な状況下で済州島にイエメン人を含め1000人を超す難民申請者が押し寄せている事に地域社会が動揺するのも当然の事と言えるだろう。
今年に入り韓国も難民問題というグローバルイシューの真っ只中に立たされているというのが率直な感想だ。韓国国内に定住しようとする難民申請者が増える中、これに対する拒否感も大きくなりつつある。昨年は42人に過ぎなかったイエメン人難民申請者が今年は既に549人となり、最近では韓国大統領府の掲示板で数十万人が受け入れ反対請願に賛同している。平昌オリンピック期間中に入国した外国人の中の相当数が難民申請をするのではとの予想もされている。該当期間中にノービザで入国した35万人中、滞在期間が満了した不法滞在者は1万人を超すと見られている。
難民問題がこのところのヨーロッパ各国の政治情勢を揺るがしているのは周知の事実だ。この様に問題化しやすいイシューが時限爆弾の様に時を刻む中、韓国社会も韓国政府も安易な対応を取っているとの印象を受ける。済州島のイエメン人受け入れ問題の議論が高まると韓国政府は応急策を打ち立てた。済州島の出入国・外国人庁の難民審査官を現在の4人から10人に増員して審査待機期間を短縮し、難民審判院を新設して異議申立ての手続きを簡素化するというものだ。しかしこれは「焼け石に水」的な一時凌ぎの策でしかない。
国際結婚が増えるに連れて韓国社会の異文化に対する理解も深まりつつある。純血主義に捕われて難民申請者に対する偏見を抱いてはならないとも思う。しかし治安に対する不安などの理由から集団難民の受け入れに否定的な世論を白い目で見る事も見方によっては偽善的なのかもしれない。韓国政府は政治的迫害を避けて入国した真の難民とノービザなどの出入国制度の盲点を突いて入国した偽装難民とを厳格に区分する役割を放棄してはならない。政界も国民的なコンセンサスを集め、難民法改定案を直ちに立案するなど法治国家的な難民政策のインフラ構築を急ぐ時だ。
翻訳︰水野卓