バイデンとファイザーに対する「W期待感」…ゴールドマンは「V字回復」展望

米民主党ジョー・バイデン候補の大統領選勝利と米製薬企業ファイザーによる新型コロナワクチン開発のニュースが重なり、ニューヨーク株式市場が急騰、市場が沸き上がった。いくつかの不確実性が解消された事で、市場は萎縮していた経済がいよいよ回復するとの期待感に満ち溢れている。
バイデン候補が当選を確実にした後、初の取引日となる現地時間9日、ニューヨーク株式市場のダウ平均株価指数は3%近く急騰し、S&P500指数も1.17%上昇して取引を終えた。
ダウ平均株価指数は取引時間中、一時前日比1600ドル以上上昇した2万9933.83ドルまで上げ、取引時間中の最高値を記録した。S&P500指数とナスダック指数も取引時間中の最高値を記録している。
ファイザーの新型コロナワクチン開発が成功に近づいているとのニュースは株式をはじめとするリスク資産全般を爆発的に押し上げた。
ファイザーとドイツのバイオエヌテックはこの日、開発中の新型コロナワクチンが最終臨床試験で90%以上の予防効果を見せたと発表した。
重大な安全性への憂慮も報告されておらず、ファイザーはデータを検証した後、11月の第3週には米FDA(食品医薬局)に対し、緊急使用の承認を申請する方針。ファイザーの株価は7.7%上昇している。
米大統領選の不確実性が解消された事も投資心理を支えている。かつてない程に長引いていた開票作業の結果、米大統領選は7日、バイデン候補が当選を確実にした。
ドナルド・トランプ大統領はこれを不服としており、訴訟戦を繰り広げるとの方針だが、選挙結果がひっくり返る可能性はほぼ無いとみられる。
バイデン候補の当選と新型コロナワクチンへの希望により、グローバル経済回復への自信も高まっている。米投資銀行ゴールドマン・サックスは世界経済の回復が予想より強まったと、V字型に急反騰する可能性もあるとの見方だ。
先週末にゴールドマン・サックスが発表した2021年グローバル経済展望報告書によると、バイデン当選人が就任する1月20日以前に少なくとも1兆ドル規模の景気浮揚策が施行されるとみられる。共和党が上院を引き続き掌握する可能性が高く、バイデン政権の経済政策は難航が予想されるが、まずは新型コロナの危機克服に向けた景気浮揚策が施行されるとみられる。
ゴールドマン・サックスのチーフ・エコノミスト、ヤン・ハチウス氏は報告書で「世界経済は今春の封鎖以降に反騰したものより、もっと強く成長する可能性がある」と、「FDAが来年1月に少なくとも1種類のワクチンを承認し、以後速やかに集団免疫が形成されれば、第2四半期の成長は急反騰するだろう」と話している。
翻訳:水野卓
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