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補正賛成で存在感狙う国民民主 「年収の壁」交渉材料に与党へ接近も懸念の声

国民民主党が2025年度補正予算案への賛成を決めた背景に、党勢の陰りを挽回し、政策実現による実績づくりを急ぐ事情が浮かび上がっている。看板政策である「年収の壁」引き上げを巡り、自民党との協議が最終局面を迎える中、与党に貸しをつくることで自身の要求を押し込む構えだ。しかし、与党寄りの姿勢には内部や支援団体から疑問も広がっている。

玉木雄一郎代表は10日、衆院予算委員会の質疑後、「いいことをやってくれれば賛成するというメッセージと捉えてもらって結構だ」と述べ、補正予算への賛成を政策本位の判断と強調した。同党が最重視する「年収の壁」については、かねて主張してきた178万円への大幅引き上げが焦点で、自民との協議は依然折り合いを欠く。

国民民主幹部は、今回の賛成が「協議でそれなりの答えを引き出すための重い材料になる」と語り、与党への圧力として作用するとの見方を示す。昨年の衆院選、今年7月の参院選で躍進した同党だが、石破茂前首相退陣後は立ち位置が揺らぎ、日本維新の会が連立入りを決めたことで政局での存在感が相対的に薄れた。共同通信11月調査では支持率が7月の15.1%から8.8%へとほぼ半減し、党勢回復が急務となっている。

補正賛成には、衆院定数削減問題で自民と距離が生じている維新との差別化、そして「協議できる政党」としての印象づけ狙いもにじむ。ただ、与党への接近は支援組織の一部に警戒心を呼んでいる。労組関係者は「高市政権にさらに力を与えかねない。野党として対峙する姿勢を見失ってはならない」と苦言を呈し、政策実現と野党らしさの両立を求めた。

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