Advertisement

日産・ホンダ統合交渉破談 自主再建の険しき道

 日本を代表する自動車メーカー同士の経営統合交渉が決裂した。統合協議の開始からわずか1カ月半で、世紀の大型合併は白紙となった。

 日産自動車の内田誠社長は2月6日午前、ホンダ本社を訪問し、三部敏宏社長に対し「子会社化案」への反対を表明。これにより事実上、経営統合交渉は打ち切られることとなった。

「子会社化案」が決裂の決定打に

 関係者によると、当初は持ち株会社を設立し、日産・ホンダがその傘下に入る形が想定されていた。しかし、ホンダ側は日産を子会社化する案を打診。ホンダ主導が鮮明になることで、日産側は「経営の自主性が失われる」と反発し、交渉決裂の決定打となった。

 この動きに先立ち、日産は2月5日午後に臨時取締役会を開催。経営統合の協議打ち切りが提案されたが、この時点では正式決定には至らず、統合白紙の方針を確認するにとどまった。

 2月5日未明からは、「ホンダによる日産の子会社化案」といった観測報道が相次ぎ、夕方には日産・ホンダ双方が「2月中旬をメドに方向性を定める」とコメントを発表した。しかし、その翌日には内田社長がホンダ本社を訪れ、交渉の打ち切りを伝えた。

業績不振と改革の遅れが背景に

 両社は昨年12月23日、持ち株会社方式での経営統合協議を開始すると発表。2025年1月末までに統合を進めるか判断し、最終契約は同年6月締結を予定していた。しかし、ホンダは日産の経営再建を統合の前提条件としており、業績の低迷が交渉の足かせとなった。

 日産は昨年11月、世界の生産能力を20%削減し、9000人の人員削減を行う「ターンアラウンド」計画を発表。北米や中国市場での不振が響き、経営の立て直しが急務だった。しかし、国内生産拠点や人員削減に慎重な姿勢を崩さず、改革の進捗が鈍化していた。

 加えて、統合比率を巡る両社の意見も食い違い、交渉は難航。1月末までに統合の可否を判断する予定だったが、これを2月中旬まで延期していた。

自主再建の道険しく

 今回の破談は、日産・ホンダ両社にとって大きな痛手だ。電動化・自動運転といった次世代技術の開発競争が激化する中、単独での生き残りは一層厳しくなる。

 ホンダは新たなパートナーを模索する可能性があるが、日産は自主再建の道を選ぶこととなる。しかし、構造改革の遅れや業績悪化の中で、果たして独力での再建が可能なのか。日産にとって試練の時が続くことになりそうだ。

Leave a Reply

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です