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選択的夫婦別姓制度を巡る主要政党の動きと主張

 後半国会の焦点となる選択的夫婦別姓制度の導入を巡り、議論が熱を帯びつつある。制度の早期導入を訴える立憲民主党は、与党内にも一定の賛同者がいる現状を好機と捉え、野党間の連携強化を模索している。一方、自民党は旧姓の通称使用を支持する意見が根強く、党内の意見集約に苦慮している。

 立憲民主党の野田佳彦前首相は4日の記者会見で、「今回は実現するところに意味がある」と強調。他党の主張を一部受け入れてでも法案成立を目指す姿勢を示した。立民が想定するのは、1996年に法制審議会が答申した民法改正案で、夫婦が希望すれば結婚前の姓を名乗れるようにする内容。同改正案には経団連や自民党内の一部推進派も賛同しており、立民幹部は「参院選を前に自民を揺さぶることができる」との見通しを語る。

 これに対して自民党は、党内の「氏制度のあり方に関する検討ワーキングチーム」の議論を事実上休止している。森山裕幹事長は党内の意見がまとまれば、関連法案の採決に党議拘束をかける必要があるとの考えだが、党内対立を懸念して慎重姿勢を崩していない。

 自民党内では保守派を中心に旧姓の通称使用を法的に認める案を求める声が強い。一方で、制度導入に前向きな議員も一定数存在しており、党方針の一本化は困難を極めている。ある幹部は「立民が出してきたら対案を出す。あくまで専守防衛だ」と語った。

 野党間の足並みも揃っていない。日本維新の会の吉村洋文代表(大阪府知事)は「旧姓の通称使用で目的は達成できる」と発言し、立民との立場の違いを強調。国民民主党も「国民的な合意形成が必要」として早期決着には慎重な姿勢を見せている。榛葉賀津也幹事長は「氏の問題は政局の道具にすべきではない」と述べ、政争の具とする動きを牽制した。

 一方、公明党は党としての案を取りまとめており、自民党との協議を経たうえで政府提出の法案として国会に上程することを目指している。選択的夫婦別姓を巡る議論は、政党ごとの思惑が錯綜し、着地点を見出すのは容易ではない情勢だ。

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