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韓米関税交渉、「ノーディール」も覚悟…首脳間の「トップダウン」可能性は?【慶州APEC】

去る8月に行われた韓米首脳会談。写真は韓国大統領室ホームページから。

政府は、鋭く対立している韓米関税交渉について、慶州アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議以降に延期する可能性という背水の陣を敷いた。当初の目標だったAPECを契機とした関税交渉の包括的な妥結には固執しないということだ。

イ・ジェミョン大統領とドナルド・トランプ大統領が会談する29日の韓米首脳会談直前まで、両国間の関税交渉が妥結に至らなかったことから、APEC期間中に「ノーディール」(交渉決裂)の可能性が高まった。これにより、交渉をAPEC以降に延長する方向に舵が切られている。イ大統領が主催国の議長を務めるAPECの成功裏の開催が最優先であり、関税交渉だけに固執するわけにはいかないという判断だ。

ただし、韓米首脳間での「トップダウン」方式による劇的な妥結の可能性はまだ残されている。イ大統領とトランプ大統領の双方が勝負師の気質が際立っているため、首脳会談が終わるまで見守る必要があるとの見方だ。

イ大統領は、韓米首脳会談を翌日に控えた28日、公式日程を入れず、側近からの報告や非公式の内部会議を相次いで開催した。毎週火曜日に主宰していた閣議も、キム・ミンソク国務総理に司会権を渡し、韓米首脳会談およびAPEC首脳会議の準備に集中した。

また、政府は同日、日本で行われた日米首脳会談にも注目していた。日本も5,500億ドル規模の対米投資方式をめぐり、日米両国間で対立が生じていた。さらに、国内総生産(GDP)比3.5%への防衛費増額を要求する米国側の要求を、日本がどの程度受け入れるかなども、韓国政府の安保関連の対米交渉の参考になる見通しだ。

トランプ大統領は、ASEAN首脳会議出席後、去る27日に日本を訪問した。日米首脳会談など2泊3日の日程を終えた後、29日に訪韓し、イ大統領と首脳会談を行う。

イ大統領が、同盟国である日本や欧州連合(EU)と比較して、過度な関税適用がいかに不当であるかをトランプ大統領にどのように説得するかも関心事だ。

関税・投資・安保をまとめて扱うパッケージ交渉が決裂した場合、すでに調整が終わった安保分野のみを妥結させる案も提起された。しかし、イ大統領はパッケージ交渉の妥結不発時には、APEC以降に追加交渉に乗り出すと見られている。

イ大統領は、交渉の遅延は必ずしも失敗ではないと言及し、APECを契機とした「ノーディール」の可能性も示唆した。イ大統領は「全てが依然として争点として残っている」とし、「韓国に致命的な結果をもたらすほどになってはいけない」と重ねて強調した。

オ・ヒョンジュ国家安保室第3次長も「今回(APEC首脳会議)で直ちに妥結するのは難しいのではないか」と見通した。大統領室関係者は「関税交渉は今回妥結するかどうかが不透明であり、我々が主催するAPECの成功が最優先目標だ」とし、「国益優先の枠組みの中で最善を尽くしている」と述べた。ただし、APEC以降に交渉が延長されれば、年末まで続く長期的な膠着局面も懸念される。

韓米関税交渉は、3,500億ドル規模の対米投資と相互関税引き下げ(韓国製品の関税25%→15%)という大枠での暫定合意の後、細部内容で難航が続いている。米国は、韓国政府が直接現金投資する比率を大幅に引き上げることを要求し、投資先の選定も米国が主導するという立場だ。韓国は、直接投資の比重を5%前後で最小限に抑え、ほとんどを「保証・融資」のようなファンド方式とし、投資先の選定や配当基準にも韓国案を反映させようとしている。

直接投資額3,500億ドルという規模は、韓国の外貨準備高の約83%に達し、短期での現金投資は外国為替市場の混乱および経済への衝撃が懸念される。無制限の通貨スワップなどの安全装置の導入を要求したが、米国側が同意しなかった。追加交渉案として、年間250億ドルずつ8年間支払う案も議論されたが、妥結には至らなかった。

rainman@fnnews.com キム・ギョンス記者

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