韓国最高裁、元徴用工訴訟に新日鉄住金の賠償命令を判決…「個人請求権は消滅していない」

韓国最高裁、元徴用工訴訟に新日鉄住金の賠償命令を判決…「個人請求権は消滅していない」
日本の植民時代に日本企業に強制徴用されたとして韓国の元徴用工4人が新日鉄住金(旧新日本製鉄)を相手取って損害賠償を求めた裁判で、韓国最高裁が新日鉄住金の賠償を命じた2審の判決を確定した。同判決は2003年10月に日本最高裁の原告敗訴の判決と反したもので、日韓関係の新たな火種となるとみられる。
最高裁は30日、「日本裁判所の判決は、韓国の善良な風俗や社会秩序に反するもので、その効力を認めることができない。強制徴用の被害者が旧日本製鉄に損害賠償請求権を行使することができると認めた原審は妥当である」として、原告勝訴を判決した原審を確定した。
焦点になった個人請求権の扱いについては「強制徴用に関する損害賠償請求権は、韓日請求権協定の対象に含まれない」と説明した。
同訴訟は元徴用工らが提起した損害賠償訴訟を日本の裁判所が受け入れられなかったことから始まった。イ氏など元徴用工4人は、1941~1943年に旧日本製鉄(現新日鉄住金)で強制徴用されたと主張しつつ、「大阪などで自由を奪われたままつらい労働に苦しんだが、賃金さえきちんともらえなかった」として1人当たり1億ウォン(約1000万円)の損害賠償を求める訴訟を1997年に日本裁判所に起こした。当時大阪地裁は損害賠償責任がないとして原告敗訴を判決し、日本最高裁が2003年10月に確定した。
元徴用工4人は韓国裁判所に同じ内容の訴訟を起こしたが、1、2審では「日本の判決内容が韓国の風俗や社会秩序に反するとは思えない。日本の確定判決は韓国でも認められる」と原告敗訴を判決した。しかし、最高裁は2012年5月、「日本裁判所の判決の理由は、日本植民地時代に強制動員自体を違法と見ている韓国憲法の核心価値と正面から衝突する」として1、2審の判決を覆した。最高裁は当時、「日本の判決をそのまま承認すると、韓国の風俗やその他の社会秩序に違反する」と説明した。
事件を再審理したソウル高裁は翌年7月に「日本の主要軍需企業だった旧日本製鉄は、日本政府と侵略戦争のために人力を動員するなど、反人道的な不法行為を犯した」とし、原告らにそれぞれ1億ウォンを賠償するよう判決した。今回の最高裁の判決は高裁の判決を確定したもので、他の関連裁判にも影響を与えるとみられる。
一方、同訴訟の原告4人のうち、3人が持病などで死去し、同日の裁判ではイ氏だけが出廷した。