8日に投開票を迎える衆院選で、選択的夫婦別姓制度を巡る議論が広がりを欠いている。与野党ともに他の争点を優先し、街頭や討論の場での言及は限定的だ。
自民党総裁の高市早苗首相は、反対論の強い保守層を意識し、公約に掲げた旧姓の通称使用の法制化についても発信を抑えている。1月26日の日本記者クラブ主催党首討論会で問われた際は、国や自治体、企業における通称使用の利便性向上を説明するにとどめ、別姓導入そのものへの踏み込んだ言及は避けた。
昨年の通常国会では、少数与党の下で立憲民主党議員が衆院法務委員長を務め、別姓導入に関する法案審議が約28年ぶりに行われた。自民党内にも賛成意見が一定数あり、制度実現の機運が一時的に高まった。しかし、同年夏の参院選で自民が敗北し、別姓反対を掲げる参政党が躍進。今回の衆院選では保守票の回復が自民の優先課題となった。
首相は4日、京都府宇治市での街頭演説で積極財政による経済成長や外国人政策への対応を訴えたが、旧姓使用や別姓には触れなかった。旧姓使用拡大は日本維新の会との連立合意に明記され、維新も公約に盛り込んでいる。
一方、別姓導入を掲げる中道改革連合の野田佳彦共同代表も、同日千葉県市原市での演説では「生活者ファースト」を強調し、自民党の政治資金問題を批判したが、別姓への言及はほぼなかった。
野党内でも立場は分かれる。国民民主、共産、れいわ新選組、社民は導入や実現を公約に明記。参政党と日本保守党は伝統的家族観を理由に反対し、減税日本・ゆうこく連合も慎重姿勢を示す。チームみらいは多角的検討を掲げるが、いずれの党も演説や討論でこのテーマを前面に出す場面は少ない。
選択的夫婦別姓は長年の課題でありながら、今回の選挙戦では主要争点として浮上しきれていない。各党の戦略と有権者の関心の行方が、今後の議論の再燃を左右しそうだ。













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