米長短金利逆転…再び浮かび上がる景気沈滞への恐怖

米長短金利逆転…再び浮かび上がる景気沈滞への恐怖

ウォール・ストリート・ジャーナルやフィナンシャル・タイムズなどの海外メディアによると22日、米国債3ヶ月物の利回りが、10年物の利回りを上回った。これは世界金融危機直前の2007年以降12年振りとなる。

第二次世界大戦以降、米国債の「長短金利逆転」は常に景気沈滞に繋がって来た。金融危機と後の世界経済沈滞直前の2007年にも、長短金利のスプレッドはマイナスを記録している。

この日、10年物の利回りは前日比0.104%急落した2.44%を記録。昨年10月の3.26%に比べ、1%近く低い水準だ。またJPモルガンによると、米FRBが長短期利回り曲線の誤謬を減らすために開発した様々な利回り曲線の中、現在市場が予測する3ヶ月物の利回りは、市場が予想する1年半後の3ヶ月物の利回りよりも高い。

スプレッドがマイナスの状態になった事は、景気展望に赤信号が灯った事を意味する。

シーポートグローバル証券のトム・ディ・ガロマ氏は、「この数日の様に債券(価格)が急激に跳ね上がれば、何か遥かに巨大な物が迫っていると疑わなければならない」と、「今四半期の経済成長上昇率は極めて微弱だと思われ、状況が急激に悪化する可能性もあり、既に新たな危機に入っているのかもしれない」と警告した。債券利回りは価格に反比例して動く。

■米FRB、年内金利引き下げの可能性58%
利回り曲線の逆転は、市場の金利引き下げ予想を反映するものでもある。短期金利が長期金利より高くなったという事は、債券投資家らの考え方では、今後の経済の状況は良い物ではなく、今後FRBが景気鈍化に対応するため、金利を下げるしかない事を意味する。大半の投資家が景気沈滞の前兆だと見る金利の逆転が現実化した事で、FRBの年内金利引き下げ予想も説得力を増している。

金融派生商品が取引されているCME(シカゴ・マーカンタイル取引所)によると、投資家らはFF金利先物の取引の流れから、FRBが年内に1回以上金利引き下げに出る可能性を58%と見ている。1ヶ月前の11%とは比較にならないレベルの急騰だ。

既にFRBの金利引き下げが1回に留まらないとの予測も出ている。政策分析会社イーブンフロー・マクロのマーク・サマーリン氏は、「来年の景気沈滞を防ぐため、FRBは利回り曲線が逆転しないレベルになる様、今年、金利を下げなければならない」と、「当面は1回で充分だろうが、世界景気鈍化の流れが深まれば、追加引き下げが妥当だろう」と話した。

■利益確定に動く株式投資家
債券市場から相次いで発せられた警告シグナルにも、上昇が止まらなかった株式市場も、この日は大幅な下落となった。ヨーロッパの大企業50社で構成されるユーロ・ストックス50指数が1.8%下落するなど、ドイツ、フランス、英国など主要な株式市場が2%前後の下げ幅を記録した。

またニューヨーク株式市場も、S&P500指数が1.9%下落するなど、3大指数が揃って大幅に下落している。

ヨーロッパ経済を牽引するドイツの製造業指数が景気縮小を意味する50未満に低下し、IHSマークイットが集計した米製造業指数も同様に、市場の上昇予測を打ち消す、21ヶ月振りに低い数値となる52.5に低下した事で、投資心理が萎縮している。

投資会社アムンディのグローバル総固定収益資産責任者マイルズ・ブラットショー氏は、「ドイツの指標が大きな悪材料だった」と、「世界成長の展望が疑われており、投資家らは利益を確定させている」と指摘した。

翻訳︰水野卓

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