韓国の雇用ジレンマ、父VS息子の争い?

韓国の雇用ジレンマ、父VS息子の争い?
‐過去19年で最悪の若年失業率…社会的合意なくして解決なし
‐拡張失業率25.2%…4人に1人が失業状態
‐定年延長は世代間の葛藤を引き起こす恐れも
ソウル市鷺梁津の塾街で、公務員試験に向け対策をしていたホンさん(30)。昨年末に4年間の準備生活を終え就職活動に乗り出した。ホンさんは希望条件を緩め、半年間で150を超える企業にエントリーしたが、就職の狭き門を突破することはできなかった。公務員試験対策も就職活動も上手くいかず、八方ふさがりだ」と苦しい胸の内を吐露した。
若者たちを取り巻く環境は日を追うごとに厳しさを増している。若年層の失業率は悪化の一途をたどり、19年振りに最悪を更新した。近年の景気悪化や定年延長、最低賃金の引き上げなどの影響で、企業は若年者雇用に消極的だ。落ち込んだ景気の中で、定年延長と若年者雇用という相反する価値観を実現させるのは容易でないと専門家は指摘する。
韓国統計庁が最近発表した「4月の雇用動向」によると、若年層(15~29歳)の失業率は11.5%を記録し、1年前より0.7%ポイント増加した。2000年の統計開始以来、4月の指標としては過去最悪だ。
■過去19年で最悪の若年失業率
韓国統計庁は、昨年は3月に行われた地方公務員の受付日程が4月に変わったことで、失業者数が増加したと伝えている。
実際に拡張失業率は25.2%と前年に比べ1.8%ポイント増加し、2015年の統計開始以来で最も高かった。拡張失業率とは、就職準備生や非正規雇用者まで全て失業者と見なして算出した、体感失業率を指す。アルバイトやインターン、家業の手伝いなど何らかの形で就業はしていても、4人に1人は失業状態にあるということになる。
若年層雇用の現状について楽観的な展望をする政府との温度差は深刻だと言える。ムン・ジェイン大統領は今年5月9日、マスコミとの対談の中で「若年者の雇用率は大幅に上がり、失業率は低下した。25~29歳の人口が増加しているにも関わらず、雇用状況には改善が見られている」と語っていた。
■「社会全体での合意が必要」
景気悪化の中で最低賃金だけが引き上げられていく現状。若年層雇用と定年延長、二兎を追わなければならない企業らは頭を抱えている。
経済副首相・企画財政部長官のホン・ナムギ氏は今月2日、「定年延長法について、社会全体での議論が必要な時」として、今月末に関連の政府案を発表することを示唆した。
しかし企業らは、定年延長が市場状況はもとより採用拡大にもむしろ悪影響を及ぼす可能性があると懸念する。また専門家は、年功序列体系が根強く残る韓国経済界で、定年延長がもたらす世代間葛藤は避けられないとしている。
高麗大学社会学科のキム・スハン教授は「定年延長が時代的な流れであることは確か。だが年功を重視する今の韓国社会では、雇用をめぐり世代間での葛藤が起こってしまうだろう」と指摘した。
翻訳者:M.I