中露、3000km天然ガスパイプライン稼働…米国への牽制なるか

中国とロシアが約3000kmの天然ガスパイプライン開通を経て両国間の協力を期す。
「シベリアの力」と命名された天然ガスパイプラインが現地時間2日に稼働した事で、今後30年間、毎年380億㎥のロシア産天然ガスが中国北東部の産業中心地域に供給される。両国間の天然ガスパイプラインの稼働は資源需給を取り巻く利害関係が一致したという点以外に、中国とロシアが米国主導の世界秩序に挑むきっかけになるという事に大きな意味がある。
■中露、天然ガスパイプラインで協力固める
今回の天然ガスパイプラインの稼働は当初予定の昨年末より1年ほど遅れた。これは両国が天然ガスパイプラインの稼働スケジュールを無理に進めた事によるもの。
現在世界最大の天然ガス埋蔵量を誇るロシアは、天然ガスを売って現金を得る事に集中している。西側諸国の制裁が長期化している事で、自国の経済市場が厳しくなっているためだ。シベリアの天然ガスパイプライン事業はソ連崩壊後のロシアの最も重要なエネルギープロジェクトとして位置付けられたという点からも、今後ロシアの1番の外貨獲得方法になるとみられる。
また中国も習近平国家主席の意向により、天然ガスの導入を急いでいる。親環境生態系を主要国家目標に掲げている習主席は石炭に依存して来たエネルギー構造を天然ガスの導入により変えようとしている。
この様な利害関係により両国は2014年5月、ロシアのシベリアにあるイルクーツク・コビクタ・ガス田と極東サハ共和国のチャヤンダ・ガス田で生産される天然ガスを中国東北地域に供給するとの契約を締結し、用意周到に準備して来た。
約3000kmに及ぶ「シベリアの力」天然ガスパイプラインは、イルクーツクやサハなどロシア東シベリア地域にあるガス田で生産される天然ガスをロシア極東地域や中国東北地域まで輸送する。ロシアはこの天然ガスパイプラインから中国に至る支線「東部路線」を通じ、年間380億㎥の天然ガスを30年間中国に供給する。
■米国に対抗する強固な同盟予告
天然ガスパイプラインにより結ばれる両国関係は、世界秩序を左右している米国に対抗する同盟になるとみられる。
中国が親環境政策に力を注ぐ事で、来年には世界最大の天然ガス輸入国になる見通しだ。現時点で2024年まで世界の天然ガス需要の40%以上を占めるとみられている。
米国と貿易戦争を繰り広げている中国は米国産天然ガスの導入を減らし、ロシア産で代替する計画。実際に中国は昨年、貿易戦争が深刻化する過程で米国産LNGに10%の関税を課し、今年その関税を25%に引き上げた。現在米国産LNGは中国に供給されていない。
ロシアのプーチン大統領は今年10月、「中国はエネルギー資源が必要で、ロシアはその資源を持っている」と、「これは至極自然な同伴関係で、今後も続くだろう」と話している。更に中露間の天然ガスパイプライン協力は米国とカナダが航路と資源の確保に向けて争っている北極で、中国の影響力を強化する手段としても作用するとみられる。
ウォール・ストリート・ジャーナルは「ソ連崩壊後のロシアの最も重要なエネルギー事業であるシベリアのパイプラインは、それぞれが米国に挑んで来た2国間の新たな協力時代を強化する意味合いがある」と伝えた。
米CIAのエネルギー分析家だった米コロンビア大学のエリカ・ダウンズ教授は「中国とロシアの間の協力が米国主導の世界秩序に代案として浮上する可能性もある」との分析だ。
両国はモンゴルを通る「西部路線」パイプライン建設も推進中だ。
これについて、カーネギー研究所モスクワセンターのアジアプログラム担当アレクサンドル・ガブエフ氏は「エネルギー協力はロシアと中国に経済的にも戦略的にも全てにおいてウィン・ウィン」だと話している。
翻訳:水野卓
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