「ナイトクラブは閉まり、人は減り」…韓国・ソウルで夜の明かり消える

‐韓国の渋谷「弘大」の夜も閑散
‐休業を選んだナイトクラブ、マスク無しでは入店不可の居酒屋
‐商店主ら「月の賃貸料500万ウォン…やっていけない」
「弘大で20年商売しているが、こんなに人がいないのは初めて見る」
今月1日の夜9時、夜の深まりとともに不夜城と化していた、韓国の渋谷と呼ばれる「弘大」では、まだ早い時間にも関わらず一部の商店が店のシャッターを閉めていた。終業準備をしていたある衣料品店の店主に駆け寄り「元々閉める時間なんですか」と尋ねると、「人がいなけりゃ商売にならないだろう」と強い口調で答えた。更に「がらんとした通りを見てみろ」と言いながら、「普段の10%にもならない」と首を振った。
■強化された「社会的距離を置く」…ナイトクラブも居酒屋も「ご用心」
3月中旬までは、それでもまだ営業を強行する一部のナイトクラブや相席居酒屋に20〜30代の若者らが集まり、顰蹙(ひんしゅく)を買っていた弘大の商圏だったが、韓国政府が先月21日に遊興施設、室内体育施設などに対し営業中止を強く求める勧告を下した事で、弘大周辺のナイトクラブは大部分が閉店している。
麻浦区によると2日、弘大周辺にある44所のナイトクラブの内、43所が営業を一時中止している。弘大の商圏範囲ではまだ新型コロナウイルスの感染者は発生していないものの、韓国政府の勧告により「社会的距離を置く」運動が強化されている状況だ。
弘大を訪れた市民らは皆、マスクをした姿だった。普段であれば数十人が長蛇の列を成していた弘大のナイトクラブ通りは灯りが消え、暗闇に包まれていた。「新型コロナウイルス感染拡大予防のため臨時休業」という案内表示が風に揺らめいていた。
一部の居酒屋には人がそれなりに入っている様だったが、がら空きだったり閉店していたりする店が大半だった。弘大で有名な相席居酒屋は、マスクを着用した後に発熱チェックを受けてから入場が可能となっていた。店の入口にはダンス営業を中止し、1日2回消毒を実施するとの案内文が貼られていた。
ある相席居酒屋の関係者は「平日だから人が少ないのか」との質問に、「平日でも数十人が行列する場所だった」と、「週末も客足が大きく減った。接触が多い室内営業だけに、来る人も多くない」と、ため息をついた。
■ナイトクラブを中心に回っていた弘大商圏「ため息」
「社会的距離を置く」運動で流動人口が減り、ナイトクラブが閉店した事で大打撃を受けたのは周囲の商人たちだ。弘大で夜9時と言えばまだ早い時間帯にも関わらず、商人らはうなだれた様子で閉店準備をしていた。ある店は夜10時30分まで営業するとの案内文も虚しく灯りが消えており、テナント募集の案内板が掲げられている空店舗も目についた。

弘大の商圏はナイトクラブやバーなどを中心に回っていると言っても過言ではない。特にナイトクラブ周辺にあるコンビニ、露店商、カフェなどはナイトクラブを訪れた客による売上が90%を占める程だ。ナイトクラブを訪れた客らの休憩場所として有名な「弘大公園」が閑散としているのは、弘大の流動人口がどれだけ減少しているのかを現している。
弘大で20年近くトッポギを露店販売しているという50代のキム某氏は「こんなに人がいないのは初めて見る」と、「元々夜になればクラブを訪れる外国人が多く、韓国人と外国人の比率が50:50になるんだが、今は誰もいないんじゃないか」と逆に聞き返して来た。
アクセサリーを販売する40代のパク某氏は「4坪ちょっとの空間の1ヶ月の賃貸料が500万ウォン(約44万円)を超える」と、「客足が減り続け、先週からは客足が途絶えた水準だ。週末になれば少し良くなるが、賃貸料を払うには到底足らない」と打ち明けた。
翻訳:水野卓
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