衝撃の児童虐待事件…法廷で嗚咽したこども園園長

養子となって僅か10ヶ月、養父母による虐待で死亡したジョンインちゃん(養子縁組後の名前:アン・ユルハ、死亡当時16ヶ月)死亡事件の2回目の公判で、最初の証人となったこども園の園長A氏が嗚咽した。A氏は5月初めに児童虐待の通報をしており、9月の3回目の通報時にはジョンインちゃんを小児科病院に連れて行った人物。
A氏は、ジョンインちゃんと虐待容疑者である養父母を離れさせる事は出来なかったと、3回目の通報でも警察と江西児童保護専門機関が「疑いなし」と終結し、それ以上の対応をしなかったと話した。
A氏は、ジョンインちゃんが最後に登園した10月12日当時、「ジョンインちゃんが深刻な状態だったにも関わらず、何故対応措置を取らなかったのか」との検察の質問に涙を溢れさせた。
■こども園園長の衝撃的な証言続く
ソウル南部地裁刑事合議13部(部長判事シン・ヒョクジェ)は17日、殺人罪などで起訴された養母ジャン氏と児童福祉法違反の容疑が掛けられた養父アン氏に対する2回目の公判を開いた。
この日の裁判では検察が申請した証人が証言した。
検察は証人尋問を通じ、ジョンインちゃんの状態と養母の認識程度が殺人の未必の故意に相当する程の深刻さであったと立証する事に注力した。
最初の証人A氏は、養父母と祖父母以外ではジョンインちゃんを最も近くで見ていた人物だという点で注目を集めた。A氏は5月25日、児童保護専門機関に通報した当時の状況について詳細に証言した。A氏は児童保護専門機関に通報した理由について、「25日に担任の先生が私を呼んだので行ってみると、子供が足と腹に傷がある状態で来た」と、「いつも上半身に傷があったが、下半身に傷があって驚いた」と話した。
A氏は「他の子の場合でも、太ももと腹に痣があったり傷があったりするケースは稀だ」とも証言している。
また「園長として父母教育をしっかりさせなければいけないのに、その事が(実践に)至らなかった部分があって、児童保護専門機関に通報した」と、「当時、私が通報した事を父母が知らず、関係が悪くはならなかった」と続けた。
養父母の態度は2回目の通報後、急激に変化した。当時、養母ジャン氏の知人が、ジョンインちゃんが車の中に長時間一人でいる姿を目撃したと通報したものの、ジャン氏はこれを養子に対する偏見だと主張したという。A氏は、誰が通報したのかまでジャン氏が正確に知っていたと伝えた。
A氏は「(ジャン氏は人々がジョンインちゃんを)養子だという偏見で見ているのが嫌だと言っていた」と、「それ以降も暫くはコロナを理由に登園をさせなかった」と話した。ジャン氏夫妻はコロナを理由にジョンインちゃんを登園させなかったものの、ジョンインちゃんの姉にあたる実の娘は通常通り登園させていた事が分かっている。
■「重さが感じられないくらい軽かった」
以後、ジョンインちゃんは9月になって再び登園し始めた。養母ジャン氏が乳房拡大手術を受けた事で、整形の後遺症による不自由が登園のきっかけになったとみられる。
A氏はこの当時を回想し、涙を流した。「違う子が来たと思った」と、「非常に、かなりやつれていた」と話した。更に「私だけでなく、職員全員があまりにも変わってしまったユルハ(ジョンインちゃん)の姿を見て辛かった」と、「私が抱き締めると、重さが感じられないくらい軽かった」と続けた。
A氏は「足と太ももの部分がブルブル震えて歩けなかった」と、「こども園での生活が難しく思え、病院に確認したくて連れて行った」と話した。この日が9月23日で、ジョンインちゃんを診察した小児科の院長が自ら警察に通報したものの、警察はこの時も内偵終結処理で終えた。
当時事件を処理したソウル陽川警察署の担当警察官らは停職3ヶ月の処分を受けている。
A氏はジョンインちゃんが死亡する前日となる10月12日がジョンインちゃんを見た最後になったが、この時は何の措置も取らなかった。A氏は「素足で来て、手と足がとても冷たく、靴下を履かせてあげた」と、「全ての事を諦めた、そんな様子だった」と証言した。
検事が何故その日は何の措置も取らなかったのかと問うと、A氏は聞こえない言葉を発し、嗚咽した。
■死なずに済んだ子供、悲劇として結論
検察はA氏などの証人らによる証言を通じ、ジャン氏とアン氏夫妻が否認している公訴事実を立証するとの立場。ジャン氏は殺人の未必の故意は無かったと主張しており、アン氏も同様にジャン氏の虐待事実を知らなかったと主張している。
ジョンインちゃんは生後7ヶ月だった昨年1月、アン氏とジャン氏夫妻の養子となった。ジョンインちゃんは9ヶ月が過ぎた昨年10月13日、ソウル陽川区木洞にある病院で死亡した。全身に痣が出来ており、腹部と脳に大きな傷が発見された。ジャン氏は「子供がソファーからマットが敷かれている床に落下した」と主張したが、病院は児童虐待を疑い通報した。
以後明らかになった事実は衝撃的なものだった。養母ジャン氏は養子を受け入れて僅か1ヶ月の時点から、ジョンインちゃんが死亡する10月まで、継続的な虐待と暴力を振るっていた。昨年5月から計3回の児童虐待を疑う通報があったものの、警察は具体的な虐待の物証を見つけられなかったと、正式な事件に転換する事もせず、分離措置も行わなかった。
捜査過程を監視する立場の江西児童保護専門機関も同様で、これといった措置を取らなかった。
昨年12月に検察が公開した国立科学捜査研究院の検死結果は衝撃的だった。
ジョンインちゃんの死因は膵臓切断による腹腔膜出血だった。同研究院では膵臓切断以外にも複数の臓器損傷と広範囲に渡る出血があったとの結果を発表した。発生時期の違う7ヶ所の骨折と多数の皮下出血の痕跡も同時に発見された。
翻訳:水野卓
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