日韓外相初会談…意見の相違目立つ

写真は鄭義溶外交部長官
―茂木外相―鄭義溶長官が英国ロンドンで初会談
―韓「福島第一原発処理水の放出決定憂慮」
―日「韓国内日本企業の資産現金化防がねば」
―原発処理水や慰安婦問題などで意見分かれる
―「未来志向的関係発展」には意見一致
日韓外相が現地時間5日、英国ロンドンで初会談を行なった。韓国鄭義溶外交部長官の就任後初となる日本の茂木敏充外相との会談で、「挨拶」程度の意味合いだったものの、両国は福島第一原発処理水や慰安婦訴訟などの懸案について、お互いの明らかな立場の違いを確認した。
ただし両国は北朝鮮の核問題に対しては引き続き協力し、日韓関係を「未来志向的」に発展させて行くことについては意見が一致した。
初の直接会談であることには意義があるものの、原発処理水や歴史問題などについては両国の立場がはっきり分かれているだけに、実質的な関係改善に至るかについては未知数だとの分析もみられる。
韓国外交部によるとこの日、鄭長官は日米韓による3国外相会談後、茂木外相と日韓外相会談を行ない、日韓関係及び各種懸案について議論した。鄭長官の就任以降、日韓外相会談は今回が初となる。鄭長官はこの間、日本との早期の外相会談を求め対話する意志を明らかにしていたが、これまで両外相の間で電話会談も行われないほど日韓関係は行き詰まった状態だった。
よって初の外相会談だったにも関わらず、日韓両国は懸案についての立場の違いを再確認するのみだった。
鄭長官は、日本政府による福島第一原発処理水の海洋放出決定が充分な事前合意無くなされた事について「深い憂慮」と「反対」の立場を伝えた。また処理水放出が韓国国民の健康と安全、海洋環境に潜在的な脅威を及ぼす可能性があると、この問題に対し非常に慎重に接しなければならないと強調した。これに対し茂木外相は今後必要な情報を継続して提供すると答えた。
日本は慰安婦、徴用工訴訟の結果に対し問題を提起した。特に徴用工訴訟に関する日本企業の資産現金化について「絶対に避けなければならない」と話した。慰安婦訴訟についても韓国政府が日本の受け入れられる解決策を提示しなければならないとの主張だった。これについて鄭長官は「日本の正しい歴史認識無しには歴史問題が解決されない」と返答した。
これまでにも両国は、慰安婦・徴用工訴訟などの歴史問題、福島第一原発処理水放出問題などについて度々衝突して来た。最近でも「従軍慰安婦」の表現をめぐり両国の間で攻防があった。日本政府が中・高等学校の教科書に「従軍慰安婦」の代わりに「慰安婦」の表現を使うことが適切だと発表したことについて、韓国外交部は「遺憾」を表し、「日本が正しい歴史認識に立脚した責任の痛感・謝罪の歩みを見せることを求める」と反発した。また韓国政府は福島第一原発処理水放出について、太平洋沿岸国・隣接国、中南米諸国とIAEA(国際原子力機関)などを相手に「対日外交戦」を繰り広げている。
ただし両国は北朝鮮と核問題については「朝鮮半島の完全な非核化」に向けて引き続き協力するとした。併せて日韓関係を未来志向的に発展させることで意見が一致した。
両外相は日韓間の懸案解決に向け、緊密な対話と疎通を続けて行くとした。よって今回の会談が日韓外交当局間の疎通活性化の「モメンタム」になる可能性もある。しかし日韓関係が長期間行き詰まった局面にあることを踏まえると、たった一度の会談で関係改善のきっかけを作るのは難しいとする見方が有力だ。
翻訳︰水野卓
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