‘ICO全面禁止’から1年…仮想通貨市場で消えゆく韓国

‘ICO全面禁止’から1年…仮想通貨市場で消えゆく韓国

-スイス ‘仮想通貨ハブ国家’… チューリッヒとツークに ‘クリプトバレー’ 設立
-ツークでは仮想通貨関連の新雇用口が約10万9000
-米国では昨年1031のプロジェクトが開始… 韓国は18に終わる

ブロックチェーン・仮想通貨業界で世界的に’有望株’とされていた韓国が、政府の厳しい規制によって1年余りで’薪’へと転落してしまった。世界の仮想通貨産業において韓国は一切の爪痕を残せなくなり、また10万口もの仮想通貨関連雇用を生み出している先進国らとは異なり、韓国では依然としてブロックチェーン・仮想通貨企業の国外脱出が続いている状況だ。

米国、ドイツ、スイスなどの主要国が仮想通貨公開(ICO)や市場についての不確実性解消に努め、関連法案・制度の整備を進める一方で、韓国政府は’ICOの全面禁止’を宣言するだけしてお手上げ状態というわけだ。さらに各国政府はICOに対する許可、そして海外企業誘致に向けた’クリプトバレー’の設立、新規雇用の創出、税収の確保はもとより、金融、法律、会計など連携する産業の活性化まで享受している。これを受け、国会や業界の一部では’ICOガラパゴス(世界市場からの孤立) 韓国’に対する懸念の声が高まっている。

■スイス・ツーク、ICO許可後に雇用口創出効果
カカオの政策支援チームは20日、世界最大級の会計法人であるプライスウォーターハウスクーパース(PwC)などが最近発刊した報告書を引用し、「スイス政府が2013年’仮想通貨のハブ国家’を標榜し、チューリッヒやツークをクリプトバレーとして創り上げてからは、イーサリアム財団が現地でICOを行うなど各国を代表するブロックチェーン企業がスイスに集まり始めた。その結果、スイスで最も面積が小さいツーク内の総雇用数は、約10万9000と試算されている」と明らかにした。

人口12万9000人のツークにブロックチェーン・仮想通貨関連の企業約250社が集まり、連携サービスである金融、法律、会計、情報通信技術(ICT)などの各種付加価値や、高賃金の企業が追加で集まっている。随時開かれている多国籍会議では、多くの雇用が創出されているとの分析だ。

また、先月14日に発表された’クリプトファイナンスカンファレンス’ の報告書で、米国とシンガポールは’ICOに最も融和的な国家’の1位と3位に選ばれた。米国は2017年のICO募金額が17億2200万ドル(約2000億円)に到達し、同期間でのシンガポールのICO募金額も6億4100万ドルに(約700億円)であった。

特に米国は昨年、ICOのスタート地となる派生国家として世界第1位に選ばれた。合計で1031のICOプロジェクトが米国でスタートし、ロシア(310)やシンガポール(260)がその後に続く。一方、韓国から始まったICOプロジェクトは18にとどまっており、それすらも海外の現地法人設立による迂回的なICOだった。

■ICO関連の金融・法律・会計など各サービスの活性化
従ってブロックチェーン・仮想通貨関連の人材確保はもちろん、投資インフラ面の整備においてもICO 活性化の是非により明暗が分かれることになった。

世界でブロックチェーン関連の特許が最も多い米国は、今月初めに発表されたクリプトファンドリサーチ報告書の中でクリプトファンドが252件とであるとし、世界のクリプトファンドの過半数以上を占めた一方、韓国はその他の国家として一纏めにされるほど微々たる件数だった。

カカオの政策支援チームは「世界の様々な地域でブロックチェーン産業を育成し、ICO許容を通して企業誘致に熱を入れる理由は、それ相応のリターンが望めるためだ。ICO企業は現地法人を設立する過程で法人税などを納めなければならず、また法の下で現地採用を義務化し雇用口も発生している」と説明した。

さらに「世界4大会計法人の一つであるKPMGがスイス・ツークに拠点を置いたように、ICO企業が現地でコンサルティングを受けながら地域内の金融、法律、会計サービスも共に活性化されている」と付け加えた。

■’ICOガラパゴス韓国’に懸念の声
それでも韓国政府は、ICOの生態系整備を放置し続けている。雇用ショックを雇用予算拡大によって封じなければならないという政策ジレンマに陥っているが、革新成長の起爆剤となるブロックチェーン・仮想通貨の生態系については無関心なのではという指摘も出ている。

とりわけ国会の一部では「ICO規制で空白期間が長期化することにより、韓国がICOガラパゴスのように孤立するのでは」といった懸念が提起されている。

国会の科学技術情報放送通信委員会(科放委)などに所属する自由韓国党のソン・フィギョン委員は最近、科学技術情報通信部の業務報告会にて「国会の4次産業革命特別委員会で、投資家保護を前提としたICO許容勧告案を採択したが、政府は未だに’ICO全面禁止’から一歩も前に進んでいない。国内100余りの企業が海外でのICOを準備中であり、世界各国はスタートアップ(創業初期企業)の資本調達手段としてICOに力を入れているが、韓国だけが絶好の機会を逃し続けている」と指摘した。

ソン議員はさらに「このままでは国富、また技術の海外流出は加速化する一方だ。全ての省庁がICO規制を唱えても、我々は積極的な説得を行いながら、ICOの生態系整備に尽力しなければならない」と付け加えた。

翻訳者:M.I
info@fnnews.jp

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