非核化に疑心拭いきれぬ…米専門家ら「内容不足」

朝鮮民族の聖地と呼ばれる白頭山山頂に到着した文在寅(ムン・ジェイン、右)韓国大統領と金正恩(キム・ジョンウン、左)朝鮮労働党委員長/平壌共同取材団
非核化に疑心拭いきれぬ…米専門家ら「内容不足」
米国メディアや専門家らは、北朝鮮の非核化案を含んだ3次南北首脳会談により、停滞していた米朝交渉に弾みがつくと予想しているが、内容的には米国が求めるレベルに遠く及んでいないと分析した。
ウォール・ストリート・ジャーナルは19日、今回の共同宣言が「北の核交渉に新たな命を吹き込んだ」と評価しながらも、今回の合意は金委員長が核兵器放棄に本気であるかに関して、米外交当局者らに解けない疑問を投げ掛けたと主張している。
米国のシンクタンク「ヘリテージ財団」のブルース・クリングラー専任研究員は「平壌共同宣言は米国の目標より進展しなかった」と、「望ましくないジレンマを米国に抱かせた」と話した。
米国が韓国に対北関連原則を強要し、米韓関係に緊張をもたらす危険を受け入れるのか、そうでなければ「幸福感をもたらす平和列車(euphoric peace train)」に乗るのか、ジレンマに陥っているという事だ。
ブルームバーグは「今回の会談は、北朝鮮が本気で核兵器を放棄する準備が出来たのかという問いに、追加論争を煽るだけだ」とし、「マイク・ポンペオ米国務長官の19日の声明や、文在寅大統領と金正恩北朝鮮国務委員長との間での平壌合意は、幅広い解釈の余地を残しており、両者がお互いに過去を話しているのではないかとの疑問を呼び起こしている」と主張している。例を上げるとポンペオ長官はこの日の声明で、米国と国際原子力機構(IAEA)査察団の立会のもと、寧辺の核施設を永久廃棄する事を歓迎すると話したものの、南北が19日に合意した平壌共同宣言ではこの様な内容は見出す事が出来ないとの指摘。実際に平壌共同宣言では、東倉里のエンジン試験場とミサイル発射台を関係国専門家らの立会のもと、永久に廃棄するという方針が入っていたのみで、寧辺に関する言及は無かった。
ニューヨーク・タイムズは「30代の金委員長はしたたかな交渉家だ」と、「金委員長は文在寅大統領との関係を”全ての核エネルギーをまず放棄して交渉せよ”という米国の要求を回避する手段として利用している」と分析した。
フォックスニュースは「予想より良い結果で、米朝間で交錯していた交渉が即刻再開された」と肯定的な評価をしながらも、「金委員長が米国に求めている事は、得られるものに値する、充分な譲歩を提供する事なのかという疑問も残された」と分析している。
米国のインターネットメディア「ヴォックス(VOX)」も同様に「金委員長が文大統領に約束した事は、金委員長がトランプ大統領に約束した事より、遥かに重要で起こり得る可能性が高い」としながらも、「問題は合意が非常に曖昧だという事」とし、「米国には悪い話になるかもしれない」と主張した。また「金委員長は文大統領と更に近づき、南北は米国の助けが無くとも関係を改善出来る事を見せた」と、「これは潜在的に将来の米韓同盟関係を悪化させる可能性がある」と憂慮している。
翻訳:水野卓
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