ブロックチェーン発の「トークンノミー時代」が来る…IT企業の主導権競争激化

ブロックチェーン発の「トークンノミー時代」が来る…IT企業の主導権競争激化
‐仮想通貨取引所確保戦争…デジタル資産である仮想通貨と実体経済とを結ぶ窓口の必要性
‐ネクソン、欧州の仮想通貨取引所ビットスタンプ4000億ウォンで買収
‐ネイバー、LINEを通じ自社の仮想通貨「リンク」を流通する自社取引所「ビットボックス」設立
‐カカオ、韓国の代表的取引所アップビットを運営する「ドゥナム」に直接投資
韓国を代表するIT企業が仮想通貨取引所を直接設立、または買収や資本投資などの形で取引所事業に相次いで参入し、注目されている。仮想通貨取引所はブロックチェーン技術基盤のサービスの核心として浮上しており、企業が先を争って市場占有に出ている模様だ。
関連業界によると、韓国を代表するゲーム企業ネクソン(NEXON)の持株会社、エヌエックスシー(NXC)のヨーロッパ投資法人NXMHが、ヨーロッパの代表的仮想通貨取引所ビットスタンプ(Bitstamp)を買収した。最近最終契約が締結され、具体的な買収額は発表されていないものの、4000億ウォン(約396億円)を超える金額だと推測される。
ビットスタンプはヨーロッパで最大の仮想通貨取引所として知られている。
■ネクソン持株会社エヌエックスシー、「コルビット」に続きヨーロッパの取引所「ビットスタンプ」買収
これに先だってエヌエックスシーは昨年、韓国を代表する仮想通貨取引所として知られる「コルビット(Korbit)」を900億ウォン(約89億円)超で買収している。今回の買収でエヌエックスシーは、韓国国内はもちろん海外でも仮想通貨を運営する企業となった。特にコルビット買収以降、ユ・ヨンソク代表がエヌエックスシーに移動して海外事業を主導しており、今回の買収でも大きな影響を及ぼしているとみられる。
ネイバーとカカオも仮想通貨取引所に注目している。ネイバーは日本の子会社LINEを通じ、仮想通貨取引所「ビットボックス(BITBOX)」を設立した。以後LINEは自社発行の仮想通貨「リンク(LINK)」をビットボックスを通じて流通させ、ブロックチェーン基盤のサービスを発表するための準備に拍車をかけている。
カカオは韓国を代表する取引所「アップビット(UPbit)」を運営する「ドゥナム」に資金を投じ、関係を強めている。カカオは8%程度のドゥナムの株式を直接保有している。また「カカオベンチャース(Kakao Ventures)」などを通じ、間接的に保有している持ち株も14%程度あり、合わせて22%程度のドゥナムの株式を保有している。「NHNエンターテイメント(NHN Entertainment)」も同様に、中国系の取引所「オーケーイーエックス(OKEx)」と協力関係を構築し、仮想通貨取引所市場に注目している事が知られている。
■「トークン・エコノミー」の核心、仮想と現実を結ぶ窓口
このように韓国の主要IT企業が仮想通貨取引所に注目するのは、単純に手数料収入を得るためではないとの分析に説得力がある。特に最近では仮想通貨の取引量が減りつつあり、手数料収入も大きく減少しつつある傾向だ。
それにも関わらず仮想通貨取引所を買収、または投資を拡大する理由は、仮想通貨取引所が仮想のデジタル資産である仮想通貨を実体経済と結ぶ窓口の役割を果たすからだとみられる。特に最近ではブロックチェーンの技術を実際の生活に結びつけるための試みが増えており、実際のサービスが続々登場している状況だ。
このようなブロックチェーン基盤のサービスは、そのほとんどが仮想通貨で利用者にリワードを提供する事になるが、このリワードを実際の現金などに替えるためには、必ず仮想通貨取引所という窓口が必要になる。
業界のある専門家は、「大衆的なブロックチェーン・サービスが登場するには、しっかりと設計されたトークン・エコノミーの構造が必要で、このトークン・エコノミーの核心がまさしく取引所」とし、「取引所が仮想世界の仮想通貨と実体経済の現金を結ぶ役割を果たし、このような機能が無いならば、ブロックチェーン基盤のサービスはきちんと作動しないだろう」と話した。
翻訳:水野卓