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サウジ、地域の緊張緩和狙う”不可侵条約” 検討

Political map highlighting Middle Eastern countries and major cities.

中東のスニ派盟主サウジアラビアが、イラン戦争の終結を見据え、イランおよび周辺諸国との間での「不可侵条約」の締結を検討していることが明らかになった。14日付の英フィナンシャル・タイムズ(FT)が報じた。長年の宿敵であるイランを枠組みに取り込むことで地域の安定化を図る狙いだが、イランと激しく対立するイスラエルや、独自の外交路線を強めるアラブ首長国連邦(UAE)が同調するかは不透明だ。

複数の外交筋によると、サウジ政府がモデルとして検討しているのは、1975年に冷戦下の欧州で採択された「ヘルシンキ宣言」だ。これは、各国の主権尊重や武力行使の停止、領土の不可侵など10項目を規定したもので、当時の米ソを含む35カ国が署名。東西陣営の緊張緩和(デタント)に決定的な役割を果たした。

中東地域では今年2月、米イスラエルによるイラン空爆を機に戦火が拡大。イランはサウジやUAEの石油施設などを無差別攻撃し、UAEには550発以上の弾道ミサイルと2200機以上の無人機が撃ち込まれた。3月末には、サウジ空軍が史上初めてイラン領内を報復攻撃するなど、情勢はかつてない緊張状態にある。こうした泥沼の紛争を受け、サウジ指導部は「戦後も続くイランの脅威を管理するには、新たな安保枠組みが不可欠」との判断に至った模様だ。

この構想に対し、イラン側も「地域は域内諸国が管理すべき」との従来の主張に合致することから、拒否する理由は乏しいとの見方が強い。欧州連合(EU)などもこの動きを支持する姿勢を見せている。

しかし、最大の懸念はイスラエルの動向だ。数十年にわたりイランと軍事衝突を繰り返してきた同国が、イランを含む不可侵条約を承認する可能性は低い。あるアラブ外交筋は「イランとイスラエルを同時に参加させるのは困難だ。だが、イスラエルを排除すれば、かえって紛争の火種を残す逆効果になりかねない」と分析する。

■ 深まるサウジとUAEの亀裂

さらに、ペルシャ湾の二大強国であるサウジとUAEの「ビジョンの相違」も無視できない。UAEは最近、米国やイスラエルとの軍事・経済的結束を強めており、独自の対イラン強硬路線を維持している。先月にはイスラエルと協力してイラン南部の石油化学施設を攻撃したとも報じられており、サウジ主導の「対話路線」にUAEが加わることへの懐疑論が根強い。

イラン戦争の終結が近づく中、中東諸国は「力の均衡」か「合意による安定」か、歴史的な選択を迫られている。サウジが掲げる「中東版ヘルシンキ宣言」が現実のものとなるか、それともイスラエルやUAEの反発により立ち消えとなるか、今後の外交交渉が地域の命運を左右することになる。

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