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“スペースX”がIPO申請、市場価値270兆円へ…「宇宙データセンター」でAIインフラ企業に脱皮

Space station with glowing AI brain dome and rockets launching above Earth

米宇宙企業スペースXは20日(現地時間)、米証券取引委員会(SEC)に新規上場(IPO)の申請書を提出し、これまでベールに包まれていた財務情報を初めて公開した。上場時の企業価値は最大1兆7500億ドル(約273兆円)に達するとみられ、米金融史上初の「1兆ドル規模の超大型IPO」となる見通しだ。同社に続き、生成AI(人工知能)大手のオープンAIも上場手続きに乗り出す。宇宙とAIの主導権を握る「ハイテク巨頭」の上場本格化により、国際資本市場のマネーフローが激変する可能性がある。

公開された申請書によると、スペースXの昨年の売上高は186億7000万ドル(約2兆9100億円)を記録した一方、先行投資がかさみ49億ドルの純損失を計上した。

特筆すべきは、同社の収益構造がすでに「ロケットの打ち上げ」から「衛星インターネット(スターリンク)」へ移行している点だ。宇宙打ち上げ事業の売上高は41億ドルにとどまり利益を上げていないのに対し、スターリンク事業の売上高は114億ドルに達した。

同社はIPO書類の中で、自社がターゲットとする潜在的市場規模を28兆5000億ドルと算定。その成長の鍵を「宇宙ベースのAIデータセンター構築」と「火星への永久居住地建設」に置いている。同社は単なる輸送業者ではなく、宇宙空間を利用した地球規模の次世代AI・通信インフラ企業であることを明確に打ち出した。

今回のIPOにおける最大の焦点は、創業者イーロン・マスク氏の圧倒的な支配力だ。上場後もマスク氏が85.1%の議決権を維持できるよう、二層構造の株式設計が採用された。一般投資家に売り出される「クラスA株」には議決権が制限され、経営陣が保有する「クラスB株」に支配力が集中する。

同社はこのIPOを通じて約800億ドル(約12兆4800億円)の資金調達を目指す。ウォール街の市場関係者は「企業の足元の業績ではなく、マスク氏個人の未来のビジョンそのものに投資する極めて異例の構造だ」と評している。順調に進めば、今年6月にもナスダック市場に上場する予定だ。

■ オープンAIも追随、市場に迫る「メガ・ブラックホール」

さらに市場を驚かせているのが、対話型AI「ChatGPT」で知られるオープンAIの動向だ。米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙などは、同社がゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーらと非公開での上場準備を進めており、早ければ今年9月の上場を目指していると報じた。同社の企業価値も1兆ドル台後半に達するとみられる。

競合のアンソロピック(Anthropic)も含め、宇宙・AI・データセンターという「AIコンピューティングの覇権」を争うメガテック企業の相次ぐ上場に対し、市場では警戒感も漂う。

これら超大型銘柄が上場直後にナスダック100やS&P500種株価指数に組み入れられた場合、ETF(上場投資信託)や年金基金などのインデックス資金が自動的に流入することになる。その規模は市場全体で約2400億ドル(約37兆4000億円)に上るとの試算もあり、既存のハイテク株や中小型の成長株から資金が急激に吸い上げられる「メガ・ブラックホール現象」が生じ、株式市場全体の歪みを拡大させかねないとの懸念も指摘されている。

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