経済混乱の責任転嫁するトランプ氏…FRBパウエル議長解任説に市場は動揺

経済混乱の責任転嫁するトランプ氏…FRBパウエル議長解任説に市場は動揺

‐最近私的な席でしきりに罷免に言及
‐株価下落・GM工場閉鎖などにより急落の株式市場は一層混沌
‐解任の関連法規は曖昧な状況…ムニューシン財務長官「その様な事はない」と釘刺し

ドナルド・トランプ米国大統領が、FRBのジェローム・パウエル議長解任を側近らと検討中だと、ブルームバーグが報じている。パウエル議長の金利引き上げが経済と株式市場に衝撃を与え、自身の2020年の大統領再選への妨げとなっているとの判断によるものだと見られる。市場に相当な逆風をもたらすパウエル議長罷免というカードを、実際に大統領が行使出来るのかについて、意見は入り乱れ混乱は続く見込みだ。またトランプ大統領の側近らは、年末休暇期間に大統領の怒りが収まる事を願っていると伝えられている。

■「パウエル議長への怒り」
ブルームバーグは22日、4人の消息筋の言葉として、トランプ大統領がパウエル議長の罷免を側近らと論じていると報じた。先週のFRBによる金利引き上げと、数ヶ月に渡る株式市場下落に対する責任をパウエル議長に問うという思惑だ。消息筋によると、側近らは、災いをもたらす可能性があり、パウエル議長解任を強く反対している。しかし周囲の引き止めにも関わらず、トランプ大統領は私的な席でここ数日間、パウエル議長解任をしきりに言及していると伝えられている。

これまでトランプ大統領が私的な席で閣僚らに対する不満の意を表すと、後に該当閣僚の退任に繋がっていた。ジェフ・セッションズ前法務長官、レックス・ティラーソン前国務長官がこの様な流れで退任し、ジョン・ケリー大統領首席補佐官も同様の道を進み、退任のステージに上げられた状態だ。

パウエル議長の場合もここまでと同じで、トランプ大統領は、株価下落やGMの工場廃止と人員整理の責任を、パウエル議長に押し付けて非難して来た。更にはパウエル議長の選任を勧めたとの理由で、スティーブン・ムニューシン財務長官にも不満を爆発させた事が知られている。しかし側近らには、影響を憂慮して慌てて火消しに出た様子。ムニューシン長官は、トランプ大統領がパウエル議長解任を示唆した事は決して無いと自身に話した事を、ツイッターを通じて明らかにした。

専門家らは株価下落について、トランプ大統領がパウエル議長を非難してはいるものの、FRB議長はインフレを統制しなければならない責任を負っており、金利引き上げに対する責任を問う事は難しいと見ている。また何より株価下落は金利引き上げと共に、大統領が自ら招いた中国との貿易戦争が主な原因だと、パウエル議長に責任を負わす事は難しいと指摘している。

■FRB議長解任は可能か
トランプ大統領が選任したパウエル議長は、上院臨時聴聞会を無難に通過し、今年2月にジャネット・イエレン前議長の後を継いで、FRB議長に就任した。大統領の任命により任期4年のFRB議長となったとはいえ、大統領がFRB議長解任の権限を持っているのかは曖昧だ。

米経済チャンネルCNBCはこの日、FRB議長は犯罪を犯さない限り罷免されないという慣習が適用されているだけで、解任に関する明確な規定は無いと報じた。連邦準備法は、「事由がある場合、FRB理事らは大統領により解任される事がある」とのみ記されている。FRBの独立性に関する著書がある、ペンシルバニア大学のピーター・コンティ・ブラウン教授は、議長も同様に理事であり、解任に関しては適用が可能だとしながらも、議長解任に関する法的な規定は曖昧だと指摘している。

ワシントン・ポスト紙は、米国の法律によれば、FRBやその他の独立的な政府機構の官僚らは、「理由がある場合は解任」出来るものの、その理由は通常大統領との政治的見解の差以上を意味すると伝えている。また歴代のどの大統領もFRB議長を解任した事はないとした。

■史上は連日トランプ変数
トランプ大統領がパウエル議長を解任しようとしているとの報道は、相次ぐ長官の辞任によりトランプ政権の改編と、連邦政府の部分閉鎖(1981年以来12回目)という非常事態に陥った状況で伝えられた。

ダウ平均株価指数は先週だけで7%急落し、ここ10年で最悪の週間成績を記録。ナスダック指数は高値から20%以上下落して弱気相場に入った。パウエル議長解任説は、株式市場が世界景気鈍化や金利引き上げ、米中貿易戦争の憂慮により下落を続ける中で、更に市場を大きく揺るがす別の大型悪材料になる可能性がある。

特に全世界で最も重要な中央銀行である、米FRBの独立性を揺るがすトランプ大統領の動きは、FRBに対する投資家らの信頼を崩し、米国のみならず全世界の金融市場に衝撃を与えかねない。

FRB議長の任期満了後に後任議長を探す通常の過程においても、後任議長が執る政策基調に対する不安で市場が揺れる事を考慮すると、トランプ大統領がパウエル議長を解任するという強引な手法を実践に移せば、市場は深刻な変動性に直面する事になる。そうなった場合、後任議長を探す作業が手に負えなくなるという不安要素も加えられる。

翻訳:水野卓

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