Uberも上場直後から株価急落…スタートアップの限界露呈?

Uberも上場直後から株価急落…スタートアップの限界露呈?
2014年のアリババ上場後、約5年振りの超大型新規株式公開(IPO)として注目を集めていたUberだったが、上場直後の株価急落で、約1ヶ月前の同一業種Lyftと同じ轍を踏んでしまった。現地メディアは、投資家らが車両共有産業の未来に疑いを懐いており、無分別な投資に依存していた米シリコンバレーのスタートアップ(創業初期企業)文化が限界に達したとみている。
2009年に創業し、10年目となる今年の5月10日に米ニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場されたUber株は、1株45ドルの公募価格で取引を開始し、同日7.62%急落した41.57ドルでこの日の取引を終えた。結果、Uberの時価総額は697億ドル(約7兆6500億円)となった。今回の上場は、2014年の中国の電子商取引企業アリババのニューヨーク株式市場上場(時価総額約1690億ドル)以降、最も大きなIPOだったが、当初の市場の予測には大きく及ばなかった。
投資業界では、昨年12月までは世界最大の車両共有企業であるUberの企業価値が、1200億ドルになるだろうと予測していた。
更にUberは、Lyftの例を見て公募価格を低めに設定したものの、株価下落を避ける事は出来なかった。Lyftは北米地域でUberに続き、市場占有率2位の車両共有企業として今年3月29日、米NASDAQに公募価格72ドルで上場した。しかしLyftの株価は今月10日基準で51.09ドルとなり、上場時に比べ29%下げた価格となっている。一部の市場専門家は、Lyftの株価下落は、ジョージ・ソロス氏など主要なヘッジファンド勢力の大量売りに拠るものだと主張し、Uberもこの様な事態に備えて徹底的に対策を準備して来たものの、株価を引き留める事は出来なかった。
米市場調査機関のブルームバーグ・インテリジェンスのアナリスト、マンディープ・シン氏はUberの成長に関して、「Uberの初日の取引は、投資家らが高成長の余地に疑いを抱く車両共有企業を、良い投資先として認識するのに躊躇している事を見せてくれた」と話した。
Uberは創業以来、急激に成長してはいるものの、これまで一度も純利益を出せておらず、昨年は売上113億ドル、純損失18億ドルを記録している。Lyftも同様に、昨年、9億1100万ドルの純損失を出し、その幅が前年より2億ドル以上増えている。
米経済専門チャンネルCNBCは12日の報道で、アマゾンやセールスフォースなどの第一世代と呼ばれるITスタートアップも、初期には赤字を積み重ねてはいたが、最近登場した後続スタートアップの場合、先行者ほどの収益モデルが存在していないと批判した。更に、アップルやグーグル、フェイスブックの様な企業も、少なくとも上場時点で収益は出していたと付け加えた。
CNBCは、2010年頃に超低金利の後押しを得たベンチャー資金が、シリコンバレーに注ぎ込まれた事で、スタートアップでありさえすれば、収益を出せなくとも構わないとする風潮が蔓延していた事を指摘し、この様な傾向がUberを例として、限界を表したのだと結論付けた。
翻訳︰水野卓