激化する米中貿易摩擦、次は通貨安競争か

激化する米中貿易摩擦、次は通貨安競争か
貿易交渉で対立している米国と中国が、最悪の状況を想定した防御の準備に苦心している模様だ。安定に維持してきた中国の人民元の価値が米中貿易摩擦の激化で急落しているからだ。
人民銀行は14日、米ドルに対する元相場を6.8365元であると告知した。前日より0.60%も急落した数値で、元安ドル高が進んでいる。人民元は、米中貿易摩擦が激化ていた昨年11月に心理的な抵抗として意識された1ドル=7元のラインに近接していたが、中国政府の人民元の安定政策、米中貿易交渉の巡航などで安定を取り戻し、1ドル=6.7元前後で推移していた。
しかし、米中貿易交渉は事実上決裂に終わり、報復関税が飛び交わす状態。これに中国政府は、米国の関税賦課による中国の輸出企業の競争力の悪化を相殺させるため、元相場の大々的な調整を行う可能性がある。注目されるのは中国政府が人民元を1ドル=7元ラインを突破することを容認するかどうかだ。
一方、米国内では金利引き下げについて議論している。ボストン連邦準備銀行のローゼングレン総裁は「関税の影響が景気減速をもたらすとしたら、政策金利の引き下げを含めて対応措置を検討することができる」と述べた。アトランタ連邦準備銀行のボスティック総裁も最近、貿易戦争の負担による利下げの可能性を示唆した。
連邦準備制度理事会はしばらく“据え置き”を維持する立場だが、貿易摩擦の激化で米国の実体経済への衝撃が来る場合はFRBも仕方なく金利引き下げを断行しなければならないという観測が出ている。