サムスン電子やSKハイニックスが板挟みに…米中「味方になれ」と圧力

サムスン電子やSKハイニックスが板挟みに…米中「味方になれ」と圧力

‐どちらにもつけない状況
‐ファーウェイ制裁による利益も一時的
‐事態長期化すれば経営に深刻な打撃

米中間の覇権争いが、周辺国に対する露骨な組分けの様相を呈しつつある。米中の葛藤は最近、「ひとつの中国」の原則が揺さぶられた事で、2国間の貿易紛争を越えた国際陣営による外交戦へと移った状況だ。

米国は自国利益の優先順位を前面に打ち立て、同盟国に対しても無差別的な関税報復で迫り、中国に対して共に圧力を掛ける事を露骨に要求している。自由市場の守護者を自負すると同時に、内政干渉は断固として拒否するという立場の中国も、周辺国に脅迫に近いメッセージを発信し、自己矛盾する外交戦へと打って出ている。両大国による覇権争いに韓国企業が巻き込まれ、厳しい状況に追い込まれたとの指摘もみられる。

■技術覇権、グローバル陣営の争いに
特に未来産業を握るための米中間の「技術冷戦」は、覇権構図の核心へと浮上した。中国が今月3〜4日に、米国企業のマイクロソフト、デルと、韓国企業のサムスン、SKハイニックス、更に英国の半導体設計企業アーム(ARM)を召喚し、トランプ政権による対中圧力に従わない様に求めた事は、技術冷戦の深刻さを象徴している。これは2国間の技術覇権の争いを越えた、グローバル陣営の争いの論理へと移る契機になると考えられる。

米中による組分けは、以前から露骨に表面化していた。中国外交部の関係者は今月2日、北京を訪問した韓国の記者らと面会し、米中貿易紛争に関して「韓国政府が正しい判断をしなければならない」と話した。事実上、韓国に対して「味方になれ」とのメッセージを送った事になる。また、ハリー・ハリス駐韓米国大使は今月5日、韓国の通信企業に対して「信頼出来ない供給者を選択すれば、長期的に非常に大きなリスクに直面する」と、圧力を掛けた。

今月1日に公開された米国防省の「インド・太平洋戦略報告書」に台湾が「国家」と表記された事で、「ひとつの中国」の原則が揺さぶられた事も、重大事件として考えられる。中国の外交原則の絶対基準が揺さぶられた事で、2国間の貿易紛争は絶対的覇権争いの構図へと進んだ。この事を契機に、両国による同盟国管理と周辺国に対する圧力が、より一層露骨になっているとの分析もみられる。

中国当局が外国系企業を呼び集めて警告した事は、始まりに過ぎなかった。中国が国家の安全保障を脅かす状況に対応するため、「国家技術安全管理リスト」を作成する予定だと、今月8日に官営新華社通信が報じた。今回の措置は、中国も米国と同様に、国家の安全保障の危機を理由に中国の通信機器メーカー「ファーウェイ」に制裁を加えた米国に対し、報復措置を取るための布石だと考えられる。

これに先だって中国政府は先月31日、自国企業の正当な権益を侵害する外国企業などに対し、事実上の「ブラックリスト」に該当する「信頼出来ないリスト」を作成した。具体的なリストは追って発表されるとみられる。

■板挟みの韓国企業
米中間の全面戦争の中、サムスン電子やSKハイニックスなどの韓国企業は完全に板挟みとなっている。韓国のIT企業は、輸出中心の事業構造となっている。世界の貿易秩序を主導する米国の要請を無視する事は出来ず、中国もグローバル事業から除外する事は考えられない最も重要な市場だ。

今年第1四半期のサムスン電子とSKハイニックスの中国売上比重は、それぞれ25%(8兆3340億ウォン)、47%(3兆1600億ウォン)に達する。その中でもファーウェイは、最も大きな中国取引企業の内のひとつだ。サムスン電子とSKハイニックスの昨年のファーウェイ関連売上高は、5兆〜8兆ウォンになるとの分析もみられる。

中国政府が報復の意思を覗かせただけに、米国による取引制裁に参加すれば、「第2のTHAAD報復」に直面する可能性もある。また制裁への参加を拒否したとしても、鉄鋼への関税賦課などの方法で、米国が韓国企業に圧力を加える可能性もある。

韓国IT企業は事態の推移を鋭意注視しているものの、今後の展望は極めて不確実な状態だ。従前に立てていた事業計画が無意味になったと、苦しい心内を吐露する企業もみられる。ファーウェイへの取引制裁問題で、当初、一時的な好影響などが言及される事もあったが、長期化すればするほど、韓国企業は深刻な打撃を被る可能性がある。スマートフォン販売増加による一部の恩恵は微々たる物で、むしろ電子部品業界は、中国の需要減少により業績にネガティブな影響を受ける事になる。

更に中国の報復措置が本格化すれば、対中輸出全体にネガティブな影響を及ぼす可能性もある。これにより、韓国政府が表に立たなければならないとの主張も起こっている。

業界関係者は、「韓国企業は米国と中国の間で、どちらの側を選択するのか難しい立場に置かれている」と、「事態が長期化すれば、企業の被害は火を見るよりも明らかな状況だけに、政府レベルでの支援も必要だ」と話した。

翻訳︰水野卓

関連記事

ピックアップ記事

  1. 韓国政府が今年6月まで仮想通貨取引を集中的に取り締まる。韓国金融委員会は仮想通貨の出金モニタリング…
  2. 写真は総理官邸ホームページから 米国のジョー・バイデン大統領は今月16日に米国で開かれる、日本の菅…
  3. 主要産油国が新型コロナウイルス感染症の世界的な流行解消と大々的な景気反騰に備え、今後3ヶ月の間に原…
  4. ―韓国疾病庁、予定より3ヶ月前倒しで実用化―丁世均首相「海外でも使える様に推進」 韓国版のブロック…
  5. 「美容大国」である韓国独自の特殊化粧品技術とビューティー商品を日本に紹介している株式会社TEISH…

おすすめ記事

  1. (写真はイメージ) −北朝鮮「2段目ロケットの異常により発射体が黄海に墜落」認める −海外メディ…
  2. 韓国語は趣味で勉強する方が多いことから、マイペースで独学する方が多いです。しかし、韓国語は発音から言…
  3. 高麗人参は世界的な名声を誇る。高麗人参は様々な国や多様な人種から代表的な健康食品であるという評価を得…
  4. (写真はドラマ「愛の不時着」のポスター) ドラマ「愛の不時着」で有名な作家パク・ジウン氏が「愛の不時…
  5. −伊メディア「韓国、母たちのストライキ」 −低出産の原因として「男女の葛藤」を上げる イタリアのある…
ページ上部へ戻る
Translate »