[ワールドレポート] 世界を危機に追い込む大規模山林火災

「火の手から逃れたカンガルーの避難場所となっていたゴルフ場が”死の大地(キリング・フィールド)”になっていた。世界の終末が訪れた様だった」

米CNNは現地時間9日、オーストラリア南東部沿岸の都市マラクータにあるゴルフ場を訪れ、現場をこの様に表現した。このゴルフ場は昨年9月から続く山林火災により避難命令が出された地域だ。

100世帯以上が焼け出され、4000人以上が自宅を失い村を離れた。火の手から逃れて来たカンガルーの群れが、人々がいなくなったこの地域のゴルフ場に集まった。火災を逃れ森の中から逃げて来たカンガルーの群れの中には、ひどい火傷を負って苦痛に喘ぐカンガルーも多く見られる。

避難命令が出されても当地に残り、カンガルーの群れを見守りながら重傷を負ったカンガルーには安楽死をさせている獣医師クリス・バトン氏はCNNとのインタビューで「動物も人間同様に苦痛を味わっている」と、「ひどい火傷を負った動物を銃で安楽死させてあげる事が、唯一の苦痛を和らげてあげられる方法だとは悪夢を見ている様だ」と話した。

昨年9月2日、ゴールドコースト付近で起こった山林火災は徐々に勢いを増し、1ヶ月の間に南東部沿岸地域まで広がり5ヶ月の間燃え続けている。

この5ヶ月間、オーストラリア南東部の山林火災により全焼した面積は東京の約100倍となる600万ヘクタール。マラクータ以外にも山林火災により2000軒以上の家が全焼し、10万人が被災した。また消防士を含む27人が火災により死亡し、20人以上が行方不明となっている。

しかし最も大きな被害を受けているのは動物たちだ。オーストラリアにあるシドニー大学の生態学者らは、今回の火災によりオーストラリアの野生動物が5億頭以上死んだと推定した。オーストラリア政府は火災鎮圧に向け積極的に動いてはいるものの、この「火炎トルネード」を人間の力で防ぎ止めるのは不可能である事を思い知らされている。

世界の気象学者らは今回の山林火災の原因として、改めて地球温暖化と異常気象を挙げている。オーストラリアでは毎年、山林火災が夏の終わりに集中して発生し9月頃には沈静化するのだが、今回は様相が違うという意見だ。山林火災が沈静化する9月初旬に起こったという事は、地球温暖化により南極の気温が異常に上昇したせいだという。

オーストラリア・メルボルンのモナシュ大学気候変化センター研究チームは最近、論文を通じ、南極上空の気流が弱まれば、オーストラリアの平均気温が上がり、降水量は減るとの調査結果を発表した。オーストラリアは昨年、1965年以降で最少の降水量を記録するなど最悪の長期干ばつや、春に気温35℃を記録するなど異常気象の影響を受けている。年が明けてもなお40℃を超える猛暑と時速30〜40kmの強風で、オーストラリア政府は雨が降る事をただただ待ち望んでいる状況だ。

オーストラリアの山林火災は既に1ヶ国だけの問題ではない。隣国ニュージーランドのウェストランド国立公園にあるフランツ・ジョセフ氷河も灰に覆われ、白い万年雪がキャラメル色になっている。ニュージーランドの現地メディアらは「オーストラリアから飛んで来た灰が厚く降り積もり、ニュージーランド南島の一部が火星の表面の様になってしまった」と報じている。火災により発生した煙は今月8日、地球の3/4を回って南米に到達、アルゼンチンとチリの空を真っ白に覆った。

この様に世界中が苦しめられている。ノーベル経済学賞受賞者でニューヨーク市立大学経済学科のポール・クルーグマン教授はニューヨーク・タイムズ掲載のコラムで「昨年から今まで米国中西部の大洪水やインド、ヨーロッパの猛暑、インドネシアの山火事とアマゾンの山火事に続き、オーストラリアの山火事と気象災害の時代が到来した」と、「それにも関わらず、米国とオーストラリア政府は最近でも石炭産業を守るという考えを再び表明するなど、極端な反環境主義を推進している」と話した。クルーグマン教授は「この様な状況では、私たちは今後も引き続き気候変化による地獄の様な災害現場を目撃する事になるだろう」と話している。

翻訳:水野卓
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