人材略奪に技術流出…中国の攻勢に”LCD神話崩壊”

人材略奪に技術流出…中国の攻勢に”LCD神話崩壊”

-LCDコリアの衰退…企業も政府も打つ手なし
-中国のディスプレイ躍進宣言…借金で補助金支援も
-技術流出加担で2倍の年収提示…中国メーカーは昨年、業界1位を獲得
-韓国は新技術開発に邁進…政府の支援が得られず差別化は難航

韓国の液晶ディスプレイ(LCD) 産業が急速に沈没している。LCDといえば、メモリー半導体と共に韓国の輸出を支えてきた主要柱だ。しかし、液晶パネルの輸出額は毎四半期ごとに縮小している。韓国はLCD強国の座を中国に譲ってしまった。昨年頃からの主要メーカーの業績、市場調査の結果などを通しその事実が明らかとなりつつある。

中国のディスプレイ産業は、以前から発展の兆しを見せていた。韓国メーカーはLCDに代わる次世代ディスプレイの開発を通し、新たな突破口を探ろうとしていた。しかし技術的難度と高いコストなどの問題により、依然として厳しい状況に置かれている。

5日関係業界によると、LGディスプレイは今年上半期に約3264億ウォン(約320億円)の営業赤字を出した。10年前の2008年上半期には21.6%という営業利益を出したLGディスプレイが、だ。

ほんの10年前まで、韓国のLCD産業は全盛期を謳歌していた。ディスプレイ産業でトップにいた日本を抜いて1位の座を獲得、また当時は中華圏メーカーの追撃も激しくなかった。2008年上半期の液晶パネル輸出額は129億4000万ドルと、上半期基準で世界初の100億ドル達成を果たした。

現在LCD業界を席巻している中国のBOE社がLCDパネルの量産を始めたのは、それから2年後の2010年下半期からのことだ。

■分かっていながらも打撃を受けた韓国業界
韓国LCD産業の歴史は、サムスン電子とLGディスプレイが築いてきた。韓国がLCD業界に参入したのは1990年代半ば。当時、世界のディスプレイ市場はシャープ、東芝など日本メーカーの独壇場だった。技術格差も10年以上に広がっていた。

韓国メーカーは、競争会社と協力し追撃を図った。サムスン電子は東芝と手を組んでシャープを追い抜き、2004年には第7世代LCDパネル生産のため、先駆者であった日本のソニーと手を組んだ。また、LGディスプレイも日本のNEGと合併を行った。

頂点に立った韓国メーカーらは、中華圏メーカーの躍動を警戒した。2003年にBOEが韓国のHYDIS TECHNOLOGIESを買収し、大胆な拡張に乗り出したためだ。HYDISは流動性リスクを考慮し、事業部ごとに分けて売られた。LCD事業部であったHYDISは、中国のBOEに3億8000万ドルで買収された。この過程で、HYDISの技術ノウハウは丸ごとBOEに渡ってしまったと言われるほどの頭脳流出が起きた。その結果、BOEは2010年下半期頃より製品の量産に成功している。

また、ディスプレイ産業の人材流出問題は現在も進行中だ。ソウル警察庁国際犯罪捜査隊は昨月、裏金を受け取ることを条件に、韓国メーカーらの先端技術を中国へ不法流出させた韓国人を検挙した。被疑者は、現在の2倍に達する額の年収とボーナス数百万ウォン、家賃、自動車、飛行機代、専用通訳などの提供を受けていた。サムスンディスプレイは最近、中国へと渡った責任者クラスの元職員を相手に裁判を起こし、転職禁止の仮処分申請を出している。

■政府はお手上げ状態
BOEは昨年、サムスンディスプレイとLGディスプレイを下し、LCD業界1位を獲得した。韓国メーカーが、下がり続けるLCDパネルの価格に苦しんでいる間にBOEは追い抜きに成功したのだ。

市場調査機関Witsviewによると、今年1月に220ドルだったLCDテレビ用液晶の平均価格は、昨月176ドルに下がった。一方でBOEは1四半期に9%の営業利益を記録している。市場調査会社DSCCは、補助金や低賃金などを背景に、中国の液晶メーカーが有利な事業環境を維持したためと分析した。

ある液晶業界の人事担当者は「サムスンやLGの投資に政府が補助金を出したことがあるか?中国は公正貿易に違反している」と不満をあらわにした。また彼は「中国経済が発展途上にあった時代ならともかく、今はそうではない。雇用が福祉と考える地方政府が、際限なく金を出し続けている」と指摘した。

別の関係者も「韓国政府も、中国に対し問題を提起するのは難しいだろう。サード(THAAD.高高度防衛ミサイル)の報復で痛い目を見た過去があるからだ」と語った。

翻訳者:M.I
info@fnnews.jp

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