トランプ氏の「中東和平構想」にパレスチナが反発

−トランプ大統領、中東和平構想発表
−イスラエルに有利との評価
−パレスチナ側は即座に拒否を表明
米国のドナルド・トランプ大統領が現地時間28日、イスラエルとパレスチナの紛争解決案として「中東和平構想」を発表した。しかしイスラエルに有利だとの評価もあり、パレスチナ側は即座に反発した。
ニューヨーク・タイムズ(NYT)やCNNなど海外メディアによると、トランプ大統領とイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はこの日、ワシントンDCのホワイトハウスで首脳会談を行なった後に「中東和平構想」を発表した。
トランプ大統領が打ち出した中東和平構想の中心は、まずヨルダン川西岸のユダヤ人入植地に対するイスラエルの主権を認める事で、イスラエルとパレスチナ両国が共にこの案を受け入れれば、今後新たな入植地建設をせずに4年間の交渉を経て調整するというもの。
また東エルサレムに首都を含む正式な国家を建設する事も提案されている。パレスチナ側がこれに応じれば、米国は国家建設や大使館設立に500億ドルの国際金融を提供するとしている。
トランプ大統領は「両者にとって得となる”ウィン‐ウィン“になる」と、「パレスチナが遂に独立国家となる歴史的な機会を迎えた」と語った。
海外メディアは、今回のトランプ大統領の構想がイスラエル側に立っているものだとの評価。NYTは「トランプ大統領がイスラエルを強く支持する中東和平案を打ち出した」とし、「この背景にはトランプ大統領の娘婿でありユダヤ人のジャレッド・クシュナー大統領上級顧問の影響が大きい」と分析した。また「トランプ大統領がパレスチナ人の長年の念願である”完全な国家の建設”の目標を退け、イスラエルが数十年間要求して来た項目の大部分を受け入れた」とも評している。
CNNは「トランプ大統領が提示した案にはパレスチナの領土に東エルサレムの中心地域が含まれていない」と、「パレスチナ側が自らの領土だと考えている範囲に全く及んでいない」と評した。
またトランプ大統領がこの日の発表で「エルサレムはイスラエルの首都として残る」と強調した点を指摘し、「この様な発言はパレスチナやアラブ諸国の感情を逆なでする」と伝えている。
エルサレムは現在、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地として、国連でもこの地域はどの国家にも属さない地域だと定めている。
一方、この日の発表に同席しなかったパレスチナ自治政府は直ちに拒否する姿勢を表明した。パレスチナ自治政府のマフムード・アッバース大統領は、「クドゥス(エルサレムの別称)は駆け引きの対象ではない」と、「米国の構想は歴史のゴミ箱に投げ捨てる」と強く反発した。
翻訳:水野卓
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