[コラム] 北朝鮮に全資産を投資しますか?

[コラム] 北朝鮮に全資産を投資しますか?

-北の開放で海外資本殺到か
-過去の投資・契約を積極活用し、南北首脳相互が投資に対する保証を

ウォーレン・バフェット、ジョージ・ソロスと共に世界三大投資家として名を馳せるジム・ロジャーズは、2015年の米CNNインタビュー内で「北朝鮮に全資産を投資したい」と語った。彼は少し前に韓国を訪れ、「北朝鮮の開放で、最も恩恵を受ける国は韓国だ。北朝鮮にピザのチェーン店を開いても成功するだろう」と発言している。

南北及び米朝首脳会談後は皮肉にも、貧しい北朝鮮が金の卵の産卵地として浮上している。韓国政府はもとより、各自治体、公企業、一般企業までが南北経済協力のタスクフォース(TF)を用意中だ。証券会社らは’北朝鮮チーム’を結成し、明るい未来への期待感に浮かれている。南北の経済協力は暗闇にさす一筋の閃光のように、危機に立たされている韓国経済へ突破口としての希望を与えているのだ。しかし、企業がロジャーズ会長のように全資産をつぎ込むという確信はない。その背景には、北朝鮮に対する信頼問題がある。

ヒュンダイグループの名誉会長、故鄭周永氏は、20年前の1998年6月と10月の二度にわたり、牛1001匹を引き連れ訪朝した。通貨危機直後で厳しい状況下にあった中、牛の大群による訪朝は、当時の金大中政権による太陽政策と相まって南北の緊張緩和と経済協力へ希望を与えた。後に対北朝鮮事業を受け継いだ鄭夢憲(チョン・モンホン)会長も、北朝鮮に命運を賭けた。

北朝鮮は、鄭・父子の2代にわたり経済協力を行ってきたヒュンダイグループに対し、信頼と投資の対価として社会間接資本(SOC)の事業権と開城工業団地、金剛山観光、開城観光、白頭山観光など多くの経済協力事業権を与えた。しかしパク・ワンジャ氏事件以降、時計の針が止まったままだ。(パク・ワンジャ氏事件:2008年、金剛山で観光中のパク・ワンジャ氏が北朝鮮兵士が発砲した銃に撃たれ死亡した事件。その後金剛山観光は中断された)

核問題解決という大前提のもと北朝鮮が開放されれば、中国、日本、ロシア、米国などから大規模な資金投入がなされるものと専門家らは見ている。米マイク・ポンペオ長官は最近CNBCのインタビュー内で「非核化が実現されればより明るい未来が待っているのだと金正恩委員長に話した。北朝鮮が開放され、きちんとした規則が適用されれば投資を考える米国人もいるだろう」と力説した。

今秋に予定されている南北首脳会談でも、南北経済協力は主要議題となることが予測される。北朝鮮は、同胞だからといって投資機会の全てを韓国に与えようとはしないだろう。より有利な条件を提示すれば、それが米国でも日本でも、国を問わず手を組む可能性が高い。韓国企業がもたついていれば絶好のチャンスを海外の資本に奪われてしまう。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は南北首脳会談を通し、北朝鮮に全資産を投資しても大丈夫なのだという確信を各企業に与えなくてはいけない。南北政府による投資保証というわけだ。南北の政治的・社会的変動に関係なく、互いに保証し合わなければならない。

過去、金大中・盧武鉉政権の時代に締結した契約や事業は認定すべきだ。これが最も確実な信用となる。海外資本との競争において優位を占めるための優先事項だ。ヒュンダイの玄貞恩(ヒョン・ジョンウン)会長は3日、故鄭夢憲(チョン・モンホン)前会長の15周忌追悼行事のため金剛山を訪れた。北朝鮮側の代表として参席した朝鮮アジア太平洋平和委員会のメン・ギョンイル副委員長は「追悼行事に積極協力を」という金正恩委員長のメッセージを玄会長に伝えた。統一戦線部長であり、アジア太平洋平和委員会長のキム・ヨンチョル氏も「ヒュンダイが先陣を切るのであれば、経済協力事業を共に行う。時機を見て平壌を訪問して欲しい」とのメッセージを伝えた。

ヒュンダイの例をはじめ、過去に北朝鮮と結んだ事業権は活用すべきだ。

事業権を持つ者の事業遂行能力が不足しているのであれば、コンソーシアムを構成すればよい。南北経済協力は、韓国のみならず南北双方の利益が前提でなければならない。平和と繁栄という南北共通の価値を追求してこそ、朝鮮半島が"完全かつ検証可能で非可逆的な繁栄(CVIP)"の時代を切り開くことができる。

チャ・ソッロク(シニア論説委員)
翻訳者:M.I

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