[香港保安法通過] 米中が一触即発…日本にも悪影響?

‐香港の資本流出・信用等級下落
‐アジア金融ハブの座失えば中国にも影響
‐金融財閥支持・大統領選前にしたトランプ氏
‐追加関税など段階的な圧力の可能性も

中国が香港の国家保安法を制定し、米国がこれに対する制裁の動きを見せている事で、世界経済にも「危険信号」が灯った。米国が予告通り香港の特別地位を剥奪し、これに中国が反発する対応を取れば、昨年の1次貿易紛争を上回る悪影響を及ぼす可能性があるためだ。ただし両国とも新型コロナウイルスの影響を克服出来ていないだけに、相互攻撃は限定的になるとの見方もある。香港は米中両国にとって手放す事の出来ない金融市場だからだ。

■米中の乱打戦で世界経済に赤信号

米国が香港の特別地位の剥奪を実行に移した場合、香港は金融ハブの魅力を失う事になる。

現在香港は米国とのドルペッグ制を通じ、香港ドルを1米ドルあたり7.75〜7.8香港ドルで固定している。この為替レートの安定のおかげで香港はアジア金融ハブの役割を務め、豊富な外貨資本を維持して来た。ペッグ制は米ドルの豊富な流動性を前提にしている。しかし中国の統制が強くなれば香港金融市場の開放性は縮小し、米国や中国の資産家らは敢えて香港に資本を預けておく理由が無くなる。これは大規模資本の流出に繋がり、外貨保有額の減少とペッグ制まで影響を及ぼす事になるとみられる。

中国が香港保安法制定の意志を公にした今月22日、香港証券取引所のハンセン指数が前日比で5.57%下落した事も、この事が懸念材料になったからだ。また香港の信用等級下落も避けられないとみられる。実際、米国の信用評価企業フィッチ・レーティングスは先月、香港の信用等級をAAからAA-に下げている。信用等級の下落も同様に資本流出を加速化させる。

中国経済への影響もある。香港は中国の域外金融センターの役割を果たし、中国の外資誘致を支援している。中国製品の主要な輸出ゲートでもある。香港保安法は「中国=(イコール)香港」を意味し、香港は米中摩擦のリスクをさらされる事になる。

米中の乱打戦がいつまで続くかもカギとなる。両国は互いに報復措置を公言して来た。関税、貿易、投資など多方面での追加制裁が続けば、影響は避けられない。問題は両国の打撃戦が長期化した場合だ。日本をはじめ、韓国、オーストラリア、シンガポールなど、大半の国家は米中に対する経済依存度が高い。両国の経済成長が悪化し、失業率が高まれば、その影響は周辺の関係国に及ぶというのが経済専門家らの意見だ。

■「全面戦争」の代わりに「段階的な圧力」

予想される米国の別の制裁は、香港保安法制定官僚と企業に対する貿易制限、米国内の中国資産の凍結、ビザ制限などだ。これは保安法制定の一翼を担った責任を問うという性格が強い。

しかし米国が香港保安法制定をきっかけに、これまで取って来た様な対中圧力を再び取る可能性も排除は出来ない。ファーウエイのみならず中国5Gに対する追加牽制を行なう可能性もある。米国によるファーウエイ制裁は、事実上世界の5G通信設備市場での中国の支配力拡大を遮断するためのものだ。1次貿易合意の破棄、追加関税賦課なども、米国が切る可能性のあるカードだ。中国経済の消息筋は「ドナルド・トランプ大統領のスタイルを考慮すると、いっぺんに制裁した後、ひとつずつ合意して行くかもしれない」と話した。

ただし米中両国を含む世界市場の痛みが大きい極端な選択は、互いに回避するだろうとの見方が優勢だ。まかり間違えば共倒れになる可能性もあるだけに、摩擦を解消出来る妥協点を見い出すのではないかとの見方だ。

トランプ大統領の場合、支持勢力の相当数が金融財閥だ。トランプ大統領が香港に制裁を加えれば支持勢力の損害は避けられず、別の手段を考えるとみられる。また別の中国経済の消息筋は「金融より関税など、違う分野で圧力を掛ける可能性がより高い」との見方だ。しかし関税爆弾も香港に大きな打撃を与える事は実質的に難しい。香港の製造業は全体産業の1%程度だからだ。この事が米国が表面的には強力な対応措置を打ち立てるものの、世界経済への衝撃は微々たるものになる様な手段を選択するとの見方がされている理由だ。反中感情が高まっている米国内では、トランプ大統領への支持率の上昇も期待出来る。

翻訳:水野卓
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