誰になっても「アメリカ・ファースト」…中国叩きは続く「2020米国の選択は」

トランプ氏2期目、保護貿易加速
2段階の貿易協定遠のく脱中国化に弾み
‐EUとは鉄鋼・航空機など広範囲で衝突予想
国内では規制緩和・減税基調維持か
財政支出の妨げになるパウエル議長ら交代予告も

4年前に「アメリカ・ファースト」を打ち立てて当選したドナルド・トランプ大統領が今回の大統領選挙で再選した場合、中国に対しては輸入製品に関税を賦課する保護貿易主義が続き、国内に向けては減税や規制緩和などこれまで通りの政策を維持するとみられる。

トランプ氏の選挙陣営が先月23日に公開した政2期目の政策には、米国の働き口を保護する事に焦点を合わせた貿易交渉を続け、英国や台湾とのFTA(自由貿易協定)締結を含む相互貿易協定を積極的に進めるという通商関連の内容が含まれた。

米中第2段階の貿易協定への期待薄れる

トランプ大統領が再選しても、現時点で中国との第2段階の貿易協定は期待出来ない状況だ。

トランプ大統領は今年1月の中国との第1段階の貿易協定への署名段階では第2段階の協定に向けた交渉を直ちに開始出来ると発言していたものの、それ以降は第1段階の合意をこれ以上自身の業績として考えていないと話し、満足していない事を露わにしている。

米中両国は第2段階の協定の条件である第1段階の履行状況について摩擦を繰り返して来た。よって中国が米国産農産物を約束通り積極的に購入しない限り、第1段階の協定は文書としてのみ残る可能性がある。

トランプ政権はWTO(世界貿易機構)で中国と更に激しい貿易紛争を引き起こす事も予想される。

トランプ大統領は中国が新型コロナウイルス禍の原因を作ったと考えており、香港国家安全法導入も重なって、両国関係は大きく悪化した状態だ。トランプ大統領は今年7月、第2段階の貿易協定の可能性があるかとの質問に、中国との関係が深刻に毀損しているとは考えていないと答えた。反トランプ系メディアCNNも、中国が貿易に於いてフェアプレーをしていないと、トランプ大統領の政策が成功すれば歓迎されるだろうと報じている。米国が中国に対し敵対的に振る舞う一方、他のアジア諸国に対しては手を差し伸べる可能性もある。トランプ政権で国務省の上級顧問を務めたクリスチャン・フィトン氏は、トランプ大統領がこれまで通り中国を牽制しながら、インドや台湾、ベトナムとの貿易関係をより強化させるとみている。

トランプ政2期目は中国デカップリングに弾みか

トランプ政2期目のもう一つの対中国貿易キーワードは、中国に対する貿易依存度を下げる「デカップリング」だ。新型コロナウイルス感染症の世界的な大流行は、中国産輸入製品に対する追加関税賦課とともにグローバル・サプライ・チェーンの脱中国を加速させる転換点になるとみられる。

トランプ大統領は現在3700億ドル(約38 7000億円)相当の中国産輸入製品に賦課されている25%関税率を更に上げる可能性があると圧力を掛けて来た。コロナ禍で売上が減少している米国企業にとっては関税負担まで重なる事になるが、トランプ大統領は中国への追加関税賦課計画を諦めていない事が伝えられている。

スティーブン・ムニューシン米財務長官は先月14日、ミルケン研究所のカンファレンスに参席し、トランプ大統領の中国との公正な貿易関係に向けた努力に一部進展があったが、更に多くの事が必要だと話し、トランプ政権2期目も中国との貿易不均衡解消が最優先課題のうちの一つである事を示唆した。

新型コロナウイルス感染症により経済と人命に被害を被ったと考える米国政府は、中国を離れる製造業やサプライ・チェーンの働き口が米国に戻らず他の友好国に移ったとしても構わないとの立場すら見せている。

EUとも貿易摩擦深刻化の可能性

トランプ大統領が再選すれば、米国とEUとの間の貿易摩擦が更に深刻化する様な敵対的な通商政策が予想される。鉄鋼やアルミニウム製品への関税のみならず、データプライバシー、デジタル税、航空機製造企業ボーイングとエアバスに対する補助金支給摩擦問題は両者間の貿易戦争に至る可能性がある。

トランプ大統領は先月6日、フォックス・ビジネスのインタビューで、新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより打撃を受けた米国経済を生き返らせ、働き口を創出するためには関税賦課が解答だと話している事から分かる様に、関税に対する執着を捨ててはいない。トランプ大統領が再選すれば、貿易政策は就任1期目と大きく変わらないというのがウォール街の政策アナリストらの見方だ。

規制緩和、減税で成長誘導

トランプ政2期目は国内的には引き続き規制緩和と減税、特に高いエネルギー費用の原因となっている規制を大幅に緩和し、パンデミック以前の経済成長に改めて誘導するとみられる。

2017年の選挙公約通り、法人税と高所得者の所得税を引け下げたトランプ大統領は、2025年に終わるこの様な減税政策の延長も優先的に行なうとみられる。また譲渡所得税と中産層の税金引き下げを進める事も明らかにしている。

トランプ政権のラリー・クドロー経済顧問は、トランプ大統領が再選すれば中間水準の納税者への税率を大幅に引き下げる事を示唆している。また追加減税とともに2022年に任期が終了するFRBのジェローム・パウエル議長が交代する可能性も浮上している。

国投資銀行コーウェンの政策アナリスト、キルス・クルーガー氏は大規模財政支出を促すトランプ大統領が経済成長への妨げになると考える人物を退出させる事が起こり得ると、FRBのパウエル議長がそのうちの1人として有力だと話している。

翻訳:水野卓
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