英、変異型ウイルス拡散で3回目のロックダウン…「全世界で第3波、パンデミック悪化」

−英国、1日で約6万人の感染者
−ジョンソン首相「絶望的…怖い」
−ワクチンが無用の長物となる危機
−ドイツもロックダウンを今月末まで延長
−米国、ワクチン接種遅れ感染拡大続く
ヨーロッパ各国は新型コロナウイルスのワクチン接種に加え、封鎖措置まで取っているものの、変異型ウイルスの感染拡大を止められないでいる。新型コロナウイルスの第3波が現実のものとなりつつある。
ワクチン接種によりコロナ終息への希望が膨らんでいた各国は、以前より強力な国家封鎖令を下している。しかし変異型ウイルスの感染拡大により、苦労の末に生み出されたワクチンも事実上無用の長物と化した。
世界で最初に大規模なワクチン接種を開始して注目されていた英国は現地時間4日、再び全国に封鎖令を下した。昨年3月と11月に続き3回目となる。
英国のボリス・ジョンソン首相はこの日、国民に向けたテレビ演説で3回目のロックダウンを発表し、変異型ウイルスの感染拡大が「絶望的」で「怖い」と話した。英国型の変異ウイルスはこれまでの新型コロナウイルスより感染力が最大70%高いとされる。
この日の英国の新規感染者数は5万8784人で、過去1年間のパンデミック期間中で最多となった。
ワクチン接種も、一部地域に出されていた4段階の緊急封鎖も効果は無かった。連日最多を更新している1日の新規感染者数は約6万人まで増加した。累積感染者数は271万人超、死亡者数も7万人を超えている。
3回目のロックダウンに入ると、医薬品や食料品の購入などを除き、全国民が自宅に留まり在宅勤務となる。学校も全面的に閉鎖される。授業は2月中旬まで遠隔授業で進められる。飲食店はテイクアウトとデリバリーのみ可能で、アルコール類はテイクアウト不可となる。
ジョンソン首相は今後数週間が最も厳しいとしながらも「戦いの最終段階に入ったと信じている」と訴えかけた。英国は国民に対し、ファイザーのワクチンとアストラゼネカのワクチンの2種類を接種している。
ドイツも1月末まで全国ロックダウンの延長を決めた。
ドイツ紙のビルトなどは4日、ドイツ連邦政府と16の政府が1月31日までロックダウンを延長する事で合意したと報じた。当初は10日に終了する予定だった。ロックダウン期間中は食料品店や銀行などの必須業種を除いた事業所は全て休業となる。飲食店は屋内利用が不可。ドイツの累積感染者数は178万人以上、死亡者数は3万5000人以上となっている。
ドイツとデンマークはワクチン接種者を増やすべく、英国同様に2回目の接種までの間隔を伸ばす事を検討中。新型コロナウイルスのワクチンは通常1回目の接種から3〜4週間後に2回目の接種を受けなければならないが、英国は2回目の接種を12週後に引き伸ばした。
この様な動きはEU内の各国にも広がる可能性があるとみられる。
米国でも英国型変異ウイルスの感染が拡大している。4日にニューヨーク州で初めて変異型ウイルスの感染者が確認され、カリフォルニア、コロラド、フロリダなどの4州でも変異型ウイルスが確認された。米国内の感染者は渡航歴が無いという点から、既に地域社会での感染が始まっているとの警告も出ている。
また米国では刑務所内の感染者が急増している。ウォール・ストリート・ジャーナルによると、この日までに米国全土の受刑者中、30万7898人が新型コロナウイルスの陽性判定を受けている。
保険当局は医療陣からワクチンを接種すべきとの立場だが、現地では刑務所職員と受刑者にもワクチン接種が急がれるとの声が高まっている。昨年11月にはペンシルバニア州モンロー郡の矯正施設で20人が陽性判定を受け、ここから地域感染が拡大した事もある。
米国は大量にコロナワクチンを購入して大々的にワクチン接種を始めたが、米国では先週、33秒に1人が新型コロナウイルスにより死亡している。
新型コロナの入院患者は33日連続で10万人を超えた。入院者数は死亡者数の先行指標とされる。米国の累積感染者数は2800万人を超え、世界最多となっている。
翻訳:水野卓
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