アメリカのジョー・バイデン大統領が退任を目前に控え、国民に向けた最後の演説を行った。ワシントンでのこのスピーチは、次期トランプ政権に対する痛烈な批判を暗に込めた内容となった。
バイデン大統領は演説の冒頭で、現在のアメリカ社会が抱える「大きな懸念」に言及。「ごく少数の超富裕層に権力が集中する状況は危険だ」と警鐘を鳴らし、「このままでは権力の濫用が横行し、民主主義の基盤が崩壊する」と強調した。
さらに、「富と権力の過度な集中は、不信感と社会の分断を生む。市民が公平に扱われていないと感じることで、民主主義への幻滅が広がる」と述べ、自由で公正な社会の重要性を訴えた。また、近年の誤情報の拡散が報道の自由を脅かしている点にも触れ、「報道の自由の危機は、権力の濫用を助長する」と警告した。
演説中にトランプ次期政権の名前を直接挙げることはなかったが、発言の随所で次期政権に対する批判的な姿勢が垣間見えた。演説の締めくくりでは、国民に向けて「君たちがこの国を守る番だ」と呼びかけ、民主主義の価値を次世代に託すメッセージを送った。
4年前の就任演説で「国民の融和」を訴えたバイデン大統領だったが、結果的に社会の分断が深刻化したことを印象づける形での退任演説となった。この言葉が、アメリカの未来にどのような影響を与えるのか注目される。













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