香港北部・大埔の高層集合住宅で128人の死亡が確認された大規模火災をめぐり、政府の説明責任を求めて駅前でビラを配っていた24歳の学生マイルズ・クワンが当局に拘束されたと現地メディアが伝えた。
クワンは火災の独立調査、再発防止策、住民の再定住の保障などを求め、通勤客に呼び掛けていた。彼らが開始したオンライン署名活動は24時間足らずで1万筆に達したが、署名文はその後削除され、当局の監視下で異論が迅速に封じられる現状を象徴する事態となった。
香港国家安全部は29日夜、クワンを扇動の疑いで拘束したとする報道が相次いだ。警察は拘束の事実について明言を避け、「状況に応じ法律に基づいて対応する」とのみコメントした。AFPは30日朝、本人への連絡を試みたが応答はなかった。
香港では2020年の国家安全法施行以降、かつての活発な政治活動は大きく制限されてきた。国家安全部は今回の火災をめぐる批判について「反中勢力が惨事を利用し、社会の分断と当局への憎悪を煽っている」と非難していた。
クワンは拘束前、取材に対し「基本的な要求をしているだけ」と語り、「これが扇動とされるなら、何が起きるか予測できない。ただ、正しいと思うことをするだけだ」と述べていた。
活動家らは28日、焼損したマンション最寄り駅でビラを配り、政府の説明責任、汚職疑惑の調査、住民の適切な再定住、建設監督制度の見直しを訴えていた。
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