米政府は、急騰する原油価格を抑制するため、ロシア産の原油および石油製品に対する一時的な制裁緩和に踏み切った。米国とイスラエルによるイラン空爆後、中東情勢の緊迫化を受けて国際原油価格が1バレル=100ドル前後まで高騰したため、緊急の対応を迫られた形だ。
米財務省の外国資産管理局(OFAC)は12日、ロシア産原油および石油製品の船積み・引き渡し・販売を時限的に許可する「一般ライセンス134(GL 134)」を発行した。同ライセンスにより、2026年3月12日時点で既に船舶に積載されているロシア産の貨物については、引き渡しと販売が認められることとなった。
今回の措置は制裁の全面的な解除ではなく、あくまで期限付きの特例である。米財務省は4月11日までの取引を許可しており、既に船積みされた在庫を市場に流通させることで、足元の供給ショックを和らげる狙いがある。米国は今月5日にもインド向けのロシア産原油販売を一部認めていたが、今回は対象をさらに広げた包括的な緩和措置となった。
■ 原油高とインフレ懸念、金融市場にも動揺
12日の市場では、北海ブレント原油が一時1バレル=101.6ドルまで上昇した。ホルムズ海峡の封鎖リスクやタンカーへの攻撃が相次ぐ中、市場の供給不安はピークに達している。同日の米株式市場も、エネルギー価格の上昇に伴うインフレ再燃への警戒感から、主要指数が軒並み下落した。
米国はロシア産原油の流通を一時的に容認するのと並行して、戦略石油備蓄(SPR)の放出も加速させている。米エネルギー省は前日、1億7200万バレルの放出を発表。これに国際エネルギー機関(IEA)加盟32カ国による計4億バレル規模の共同放出が加わる。ロシア産貨物の活用、米国の独自放出、そしてIEAとの国際共闘を同時に展開することで、戦時下における原油暴騰を抑え込む構えだ。
ただし、今回の決定は米国の対露制裁方針が根本的に変わったことを意味するものではない。市場関係者は、エネルギー価格の急騰が自国経済や大統領選挙に与える悪影響を回避するための「緊急避難的な応急処置」であると分析している。実際、OFACは今回の緩和対象を既に船積みされた貨物に限定しており、制裁の基本的な枠組みは維持されている。

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