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米情報機関「イランの体制転換は困難」 開戦直前の機密報告書が波紋

米国とイスラエルによるイラン攻撃の直前、米情報機関が「軍事介入だけではイランの体制転換(レジーム・チェンジ)は困難」との冷徹な評価を下していたことが明らかになった。実際に開戦後、強硬派のモズタバ・ハメネイ氏が最高指導者に選出されたことで、情報機関の分析が的中したとの評価とともに、トランプ政権内の戦略不足を指摘する声が高まっている。

■ 「軍事介入でも体制崩壊の可能性は低い」

9日(現地時間)、ワシントン・ポスト(WP)やニューヨーク・タイムズ(NYT)などの海外メディアによると、米国家情報会議(NIC)は今年2月に作成した機密報告書で、米国の軍事介入がイランの体制転換につながる可能性は極めて低いと結論付けた。

報告書は、限定的な空爆はもちろん、大規模な地上作戦が展開されたとしても、イラン政権が容易に崩壊することはないと分析。その核心的な根拠として、現在の指導部に代わる強力で統合された反政府勢力が存在しない点を挙げた。特に、最高指導者アヤトラ・アリ・ハメネイ師が死亡したとしても、権力の中枢が体制維持のために結束する可能性が高いと予測している。

■ 後継者に強硬派のモズタバ氏 「体制維持」を選択か

こうした情報当局の分析は、実際のイラン国内の状況と一致する流れを見せている。最近のイスラエルによる空爆で死亡したアリ・ハメネイ師の後継者として、実子のモズタバ・ハメネイ氏が電撃的に選出されたのだ。

モズタバ氏は父親よりも急進的で強硬な性向を持つ人物として知られている。同氏の選出は、イランの権力層が外部の圧力に屈するのではなく、むしろ体制の結束と強硬路線を選択したことを象徴的に示している。

■ トランプ政権内のメッセージに食い違い 情報機関との緊張再燃

今回の機密報告書の内容は、「短期間で目標を達成できる」と主張してきたトランプ大統領の立場と真っ向から対立する。トランプ氏は核プログラム阻止を名分に掲げつつも、体制転換の可能性を繰り返し示唆してきた。

一方、ピート・ヘグセス国防長官は「今回の軍事行動の目的は体制転換ではない」と一線を画すなど、政権内部でも足並みの乱れが目立っている。

これにより、トランプ氏と情報機関の間の長年の不信感が再び表面化している。トランプ氏は以前から情報機関の分析を「政治的意図が含まれたもの」として無視してきた。一方、情報当局は2021年のアフガニスタン撤退時の誤算や、2022年のロシア・ウクライナ戦争初期の見当違いな予測などを教訓に、今回はより慎重なアプローチをとったものと見られる。

トランプ政権1期目にNSC(国家安全保障会議)で活動したリチャード・ゴールドバーグ氏は、今回の報告書について「情報機関の分析はあくまで一つの意見に過ぎない」とその限界を指摘した。しかし、戦争が長期化しイランの抵抗が激しさを増す中で、米国内でも無理な軍事介入に対する批判世論が拡散する兆しを見せている。

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