Advertisement

史上最大4億バレルの備蓄放出決定…市場は冷淡、ホルムズ危機で「原油150ドル」予測も

国際エネルギー機関(IEA)は、史上最大規模となる4億バレルの戦略石油備蓄(SPR)の放出を決定したが、国際原油価格はむしろ上昇に転じた。米国・イスラエルとイラン間の戦争が激化し、イランがホルムズ海峡周辺で商船やタンカーを標的とした攻撃を本格化させているためだ。

世界の原油輸送の約20%が通過するホルムズ海峡の安全が確保されない限り、原油価格は上昇圧力を受けざるを得ない構造となっている。イランは「原油価格は1バレル=200ドルまで上昇し得る」と警告し、同海域の船舶に対する攻撃の強度を強めている。

■ 各国が足並み揃え放出へ、日米韓も参画
11日(現地時間)、IEA加盟32カ国は戦略備蓄の放出を最終決定した。

各国別の放出規模の詳細を見ると、まず米国は戦略石油備蓄(SPR)から1億7,200万バレルを放出する。ドナルド・トランプ大統領は、今回の措置が「米国と世界に対する脅威を終焉させ、原油価格を大幅に引き下げることになるだろう」と強調し、市場安定への強い意欲を示した。

日本政府もこれに同調し、経済産業省は官民が保有する石油備蓄から約8,000万バレルを放出する方針を発表した。また、韓国の産業通商資源部も2,246万バレルの放出を決定し、国際的な足並みを揃えた。欧州諸国も相次いで参画を表明しており、英国が1,350万バレル、フランスが1,450万バレルの放出を計画しているほか、ドイツやオーストリアも今回の国際的な枠組みへの同調を明らかにしている。

■ 「焼け石に水」か、市場の根強い懐疑論
しかし、市場の反応は極めて冷ややかだ。放出される4億バレルという数字は、ホルムズ海峡を通過する原油の「約20日分」に過ぎない。マッコーリー銀行は報告書で、「世界の一日あたりの生産量に換算すれば、わずか4日分に相当する規模だ」と分析した。

MSTマーキーのエネルギーアナリスト、ソール・カボニック氏はCNBCに対し、「海峡封鎖による日量2000万バレルの供給不足に対し、今回の放出で補填できるのはその4分の1程度だ」と指摘。スウェーデンSEB銀行のビャルネ・シールドロップ氏も「史上最大規模とはいえ、現在の危機を解消するには不十分だと市場は見ている」と評価した。

■ 相次ぐタンカー攻撃、イラン「200ドルを覚悟せよ」
実際に、ホルムズ海峡付近では船舶への攻撃が続いている。同日午前には貨物船3隻が攻撃を受け、夕方にはイラク産原油を積んだタンカー2隻が砲撃され火災が発生した。ロイター通信によると、開戦以来、同海域で被弾した船舶は少なくとも14隻に達する。

IGの市場戦略家、トニー・シカモア氏はロイターに対し、「原油急騰を抑えるためのIEAの大規模放出に対する、イランによる直接的かつ強力な対抗措置とみられる」と述べた。

イラン軍の統合指揮本部「カターム・アル・アンビヤ」は同日、「原油価格を人為的に下げることはできない。価格はあなたたちが不安定にした域内の安保状況に左右される。1バレル=200ドルを覚悟せよ」と警告。エネルギー調査会社ウッド・マッケンジーは、封鎖が長期化した場合、価格は150ドルまで上昇すると予測している。

Leave a Reply

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です