北朝鮮と米国の対立…対応を迫られる韓国政府

北朝鮮メディアが連日終戦宣言を要求し、韓国政府も傍観してはならないとの役割論を強調している。米朝間の非核化と体制保証の後続処置が遅れる中、板門店宣言で年内の終戦宣言に合意した韓国政府の負担も大きくなっている模様だ。
対応を迫られる韓国側は鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長と康京和(カン・ギョンファ)外交部長官がそれぞれ米国でジョン・ボルトン国家安保補佐官、マイク・ポンペイオ国務長官と面会し、交渉の突破口を探っている。
しかし、米国は意味ある非核化処置無しで終戦宣言をする事には否定的だ。ドナルド・トランプ米国大統領は非核化の速度調節論に方向転換しているものの、北朝鮮が要求している“段階的かつ同時的な行動”には両者の視点が未だ一致していない状況だ。
■北朝鮮、韓国の役割論を強調
北朝鮮はポンペイオ長官の訪朝以後、不満をあからさまにした7日の外務省報道官の談話に続いて、連日終戦宣言を要求している。北朝鮮の対外宣伝メディア「わが民族同士」は21日、「緊張緩和と強固な平和体制構築の最初の工程」に続き、23日にも「終戦宣言問題、決して傍観してはならない」と題した記事で終戦宣言を強調した。
同メディアは「先日米国が立場を急変させ、終戦宣言を拒否している」と述べ、「板門店宣言の条項を履行する義務を負っている韓国当局も終戦宣言問題を決して傍観してはならない」と伝えた。
別の北朝鮮対外宣伝メディア「メアリ」もこの日、「韓国当局は終戦宣言採択のためにすべき事は全てするべきだ」、「終戦宣言の採択はプレゼントではない」などの報道を通じて米国に圧力を掛けると同時に、韓国の役割論を強調した。
これは、トランプ大統領の速度調節論により米朝が「非核化」と「体制保証」を段階的かつ同時的に取り交わす様相に転換したものの、未だ両者の意見が食い違っていることを表している。
国立外交院のキム・ヒョンウク教授は「北朝鮮の核ミサイル実験中断、豊渓里核実験場廃棄などの次の段階の処置に、トランプ大統領は米韓合同訓練を中断して北朝鮮の非核化処置を待っている」とし、「しかし北朝鮮は米軍遺骨送還以降の米国による体制安全保証を期待している」と分析した。
■「韓国の仲裁役に注目」
この様な状況で北朝鮮が韓国に圧力を掛けるのは、文在寅(ムン・ジェイン)大統領に仲裁者としての役割を忠実に行なえとのメッセージが含まれているという分析も出ている。
北韓大学院大学の梁茂進(ヤン・ムジン)教授は「北朝鮮は、米国が米朝首脳会談で合意した終戦宣言の論議を後回しにし、先に非核化、後に体制保証という既存の主張ばかりを繰り返していると非難している」と述べ、「韓国政府には仲裁者、対話の促進者のみならず非核化と体制保証に関する米朝の保証人としての役割を促している」と話した。
韓国は米朝首脳会談の後続処置の進展速度を高めるために両者を説得し仲裁しなければならない状況に直面している。
専門家らは、「北朝鮮には停戦協定65周年の今月27日前後に米軍戦没者の遺骨を送還し、合意した東倉里ミサイル試験場の速やかな廃棄を履行せよと説得する事が鍵となる。また米国には終戦宣言により体制保証の第一歩を踏み出し、非核化と交換する過程を理解させる事が必要だ」との見解を示した。
lkbms@fnnews.com イム・クァンボク記者
翻訳︰水野卓