「債券王」 グロース氏、3月引退発表…大物投資家の退場に称賛の声相次ぐ

「債券王」 グロース氏、3月引退発表…大物投資家の退場に称賛の声相次ぐ

世界債券市場に最も影響力のある投資家ビル・グロース氏が引退を宣言した。48年前に債券ファンド「ピムコ」を共同設立し、世界最大の債券ファンドに育て上げたものの、ピムコから離れたここ4年程の間は屈辱を味わい、遂に引退を宣言する事になった。

4日、英紙フィナンシャル・タイムズや米経済チャンネルCNBCなどの海外メディアによると、グロース氏は現在籍を置いている資産運用企業「ジャナス・ヘンダーソン」を最後に引退する事を明らかにした。同氏は3月1日を以って引退する。

ピムコがドイツの資産運用企業「アリアンツ」に吸収された後、当時の共同最高経営者(CEO)モハメド・エラリアン氏との軋轢の末にピムコから追い出されたグロース氏は、ジャナスに移籍した後はかつての様な素晴らしい成績を上げる事が出来ず、苦難の道を歩き続けた。

一時はピムコで3000億ドルに迫る顧客資産を運用していたグロース氏も、ジャナスに移ってからは運用資産の規模が急激に縮小していた。

グロース氏がジャナスに移った後に引き継いだ「ジャナス・ヘンダーソン・グローバル・アンコンストレインド・ボンド・ファンド」は、公開初年度に投資家ジョージ・ソロス氏が5億ドルを引き上げた事で、グロース氏の名声に傷が付き、以降も振るわない運用成績により顧客離れが続いていた。

グロース氏のジャナス債券ファンドは、昨年3月の22億ドルをピークに資産の引き上げが相次ぎ、現在は10億ドルにも満たない水準にある。なお、このファンドでの顧客資産は半分にも満たない48%に留まっており、残りは全てグロース氏の個人資産だという屈辱も味わっている。

今年74才になる世界的な投資家グロース氏は、ピムコでの晩年も運用成績は振るわなかった。グロース氏がエラリアン氏と泥沼の争いを繰り広げた事で、莫大な投資損失を記録した事もある。このため、グロース氏の引退には今更の感があるとの指摘も見られる。

米国の金融諮問企業「リソース・マネジメント」のランディ・ウェッシェCEOは、「正にスター選手がピークを過ぎても、引き続き現役に残っているのを見ている様だった」と、「グロース氏は過去には偉大な運用成績を見せてくれたが、今はより多くの顧客資産を失う前に引退するのが適切な時期だ」と話している。

グロース氏は引退宣言で、「この40数年間は素晴らしい旅路だった」と、「ずっと顧客らの利益を最優先にし、その旅路においてアクティブ債券運用(技法)を創造し、再創造もした」と振り返った。

自身を「70才のジャスティン・ビーバー」だと話すグロース氏は、引退後も個人資産と家族名義の資産財団の運用は続けて行く計画だと明かしている。

同氏の家族名義の資産財団「ウィリアム・ジェフ・ジェニファー・グロース・ファミリー財団」は資産規模3億9000万ドルを誇り、昨年1年間だけでも2140万ドルを超す寄付をしている。

グロース氏は、「息子ジェフ、娘ジェニファーと仕事を続ける」と、「地域や全世界に渡り、より良い人生を作り出せるという、価値ある重要な動機を探し出し(これを支援する)仕事を続ける」と話した。

「大物投資家」引退の報に、この間の業績を称える賛辞も相次いでいる。

ピムコ時代に激しく争ったエラリアン氏も、この日のメールによる声明で、「ビル(グロース氏)は固定収益(債券)革新の長い歴史のみならず、いまだに数多くの投資家らが用いる投資アプローチとフレームを遺産として残した」と称賛した。

ピムコも、「グロース氏はアクティブ債券運用の開拓者として、ピムコの投資プロセス、顧客収益、ピムコの優秀な資産運用チームに多大な影響を与えた」と、「健勝を祈る」と伝えた。

グロース氏と共に働いていたピムコのある関係者は、低調だったグロース氏の最近の運用成績について、「ジャナス・ヘンダーソンでは、グロース氏が必要とするインフラを持てなかっただけ」だと、「そのせいで、グロース氏のここ数年間の運用成績は急激に下落した」と指摘している。

グロース氏をジャナスに招き入れた、ジャナスのディック・ワイルCEOはグロース氏を「歴史上最も偉大な投資家の中のひとり」だと称した。

一方でグロース氏は、引退声明で彼のトレードマークとなった華麗な語彙を披露した。同氏は、「私は出航する。この港を離れ、高い希望と澄んだ空、穏やかな海を持った、もうひとつの目的地に向かう」と話した。

グロース氏は、くしゃみの喜びから、自身が飼っていた愛猫の死に至るまで、多様なテーマに関する論議と華麗な語彙で知られる、顧客らに送る投資レターで有名だ。

翻訳:水野卓

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