神秘主義vs.露出主義

神秘主義vs.露出主義

ドラマ『トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜』が大ヒットしアジア中を席巻すると、CNNはいち早く主演のコン・ユにインタビューを行った。最後に記者は、なぜバラエティ番組では姿を見ることができないのかと尋ねた。すると彼は笑いながら、所謂「神秘主義」のせいではないと答えた。

「俳優とは、演じる役柄ごとにイメージを作り出さなければならない職業です。普段の姿を見せすぎることは、職業に忠実な行為とは言えません」

ク・ボ氏が新米ディレクターだった頃、神秘的な雰囲気をまとう魅力的な女性タレントがいた。彼女はいつも優雅なハットを被りサングラスをかけ、シワ加工の施されたロングスカートをなびかせテレビ局に現れた。監督と作品の話を一通り終えると、他のPDたちには目もくれずにさっさと現場を後にする。そんなミステリアスさに惹かれたク・ボ氏は、監督としてデビューした暁には必ず彼女をキャスティングしようと心に決めたのである。しかし、その夢が実現することはなかった。彼女は、不慮の事故で若くしてこの世を去ってしまった。昨今の露出過剰傾向を見ながら、ク・ボ氏は彼女を思い出す。

「クァンジョン」「クヮンシムジョンチャ」(どちらも目立ちたがり屋の意)などの新造語が登場するほど、最近のテレビやインターネットは自己顕示欲の強い人間で溢れかえっている。世界のありとあらゆるニュースと自身を結び付け、常に話題の中心に立とうとする様は、まるで政治家の露出癖でも伝染したかのようだ。問題は、一般人が政治家のように恥を忘れ厚顔になっていることである。

ク・ボ氏の一日は公衆浴場へ行くことから始まるのだが、いつもそこで見苦しい光景に出会う。局部を隠すこともなく脱衣所を闊歩する全裸の男たち。見ているこちらが恥ずかしく、視線を逸らしてしまうほどだ。ク・ボ氏は世界中の公衆浴場を訪れたことがあるが、このような例はまず見なかった。皆一様に、小さいタオルや手でさりげなく前面を隠していた。韓国人のように、肥えた腹と自分の性器を丸出しにして歩くような者はほとんど居なかった。韓国の男たちはなぜこうなのだろうか?見せびらかしたくなるほど立派だとでもいうのか?そうは思えない。

ク・ボ氏は失礼を承知で、女湯の様子についても周囲に聞き込みを行った。すると、何ということだろう!五十歩百歩、女湯も男湯と大差がないというではないか。最近の女性たちは、風船のように豊胸手術を施したバストを誇らしげに掲げ歩いているという。高い費用をかけたのだから自慢したくなるのも当然か。世界中のあちこちで、恥を忘れ図々しさでいっぱいである。

銭湯での光景など、取るに足らないことなのかもしれない。近年はどの局も、芸能人とその家族を特集する番組で溢れている。自身の家族を出演させ、本来ならば露出する必要のない話まであっけらかんと明かす。大して面白くもない内容に、お茶の間はすっかり浸食されてしまっている。

露出量と能力は決して比例しないとク・ボ氏は語る。しかし世間一般的には、顔が売れて有名になってこそ一人前であるという認識だ。過剰な露出がよしとされる風潮が蔓延るのはそのせいか。

そんなことを考えていたら、突然裸で日光浴がしたくなったというク・ボ氏。彼は水泳パンツを履くと、マンションの屋上に上った。そして『トッケビ』のコン・ユのように剣を振り回しながら、世の中に向かってこう叫んだ。

露出至上主義者たちよ!せめて同時に実力を育てながら服を脱げ。コメディアンは屋根裏に隠れて面白いギャグでも考案し、歌手は滝に打たれながら歌唱力を鍛えるのだ。そして役者は、コン・ユの職業精神を見習うがよい。

イ・ウンジン韓国ドラマ研究所長

翻訳者:M.I

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